Microsoftは、「Ethereum」ベースのブロックチェーンネットワークを数分でデプロイ、構成できる「Ethereum on Azure」の機能を大幅に強化した。
Microsoftは2018年3月19日(米国時間)、Microsoft Azure(以下、Azure) Marketplaceで提供する「Ethereum on Azure」の大幅な機能強化を発表した。Ethereum on Azureは、オープンソースのブロックチェーンプラットフォーム「Ethereum」ベースのブロックチェーンネットワークを数分でデプロイ、構成できる。
Microsoftは、「企業が本番環境でのブロックチェーンの利用シナリオを作成しており、ブロックチェーンネットワークの信頼性やモニタリングがますます重要になっている」との認識を示している。Ethereum on Azureの機能強化は、企業のシナリオに適した、本番環境に対応可能なコンソーシアム型ブロックチェーンネットワークの実現を目指したものだという。
Ethereum on Azureの機能強化の概要は以下の通り。
分散ネットワークの参加者である「ノード」がコンセンサスプロセスにおいて存在することは、公正で安全なネットワークを実現する上で重要だ。Microsoftは高可用性を確保するために、クロスリージョンの「Azure仮想マシンスケールセット(Azure VMSS)」と「Azure管理ディスク」を取り入れた。
ノードがダウンすると、Azure VMSSが自動的にノードを復元し、Ethereumネットワークに参加させる。アクティブノードは時間とともに変わるかもしれないが、Microsoftが正確なブートノードリストを維持し、他のメンバーがネットワークに参加できるようにする。
自社のシナリオに沿った適切なネットワークトポロジーを選択するのは難しい。Microsoftは、さまざまなEthereumネットワークのトポロジーを1つの手順に集約し、ユーザーがデプロイオプションを順を追って選択できるようにした。また、その過程では、ユーザーのシナリオにとって重要な情報しかユーザーの目に触れないようにした。
Microsoftは、ネットワークの健全性とブロックチェーンの指標のモニタリング、ロギング、分析に対するニーズを重視している。そのためブロックチェーンインフラのテレメトリーモニタリングを行えるように、ブロックチェーンネットワークでのカスタマイズ可能なモニタリングダッシュボードのデプロイをサポートした。「マイナー」およびトランザクションノードを対象に、CPU、メモリ、ディスク容量のモニタリングとカスタムアラートを作成することができる。
新しいテンプレートにより、スタンドアロンのテストネットワークおよび新しいコンソーシアムネットワークの作成、既存コンソーシアムネットワークへの新メンバー追加に必要なインフラをデプロイできる。コンソーシアムの1メンバーが冗長性の確保やディザスタリカバリーを目的に、ブロックチェーンのフットプリントを複数リージョンにデプロイ可能だ。
こうしたテンプレートは、AzureやEthereumに関する最小限の知識を基に、マルチメンバーのコンソーシアム型Ethereumネットワークを迅速かつ簡単にデプロイ、構成できるように設計されている。
各メンバーは数回のユーザー入力とデプロイにより、Azureの全世界のコンピュータ、ネットワーキング、ストレージなどのサービスを使って、ネットワークフットプリントをプロビジョニングできる。
各メンバーのネットワークフットプリントは、アプリケーションやユーザーがトランザクションを提出するために使用できる一連の負荷分散されたトランザクションノード、コンセンサスを管理するための一連のマイニングノード、テナント間接続のためのVPNゲートウェイなどで構成される。
下の図は、各メンバーが3つのリージョンへのデプロイを行っているマルチメンバーネットワークアーキテクチャを示している。それぞれの黒枠は、コンソーシアム内の1メンバーのフットプリントを含むリソースグループを表している。
なお、テンプレートは、メンバー間でのハブ&スポークの接続モデルを構成しているが、コンソーシアムの固有のニーズに合わせて接続モデルを変更できる。
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