ソフトバンクと慶應義塾大学が、専用グローブを装着したPepperと人の間で、5G経由で「力触覚」を無線伝送する実証実験を実施。5Gでは、遅延なく、高精度な伝送が可能になり、聴覚、視覚に次ぐ第三の感覚技術として、触覚によるロボットなどの遠隔操作に活用が期待できるという。
ソフトバンクは2018年5月11日、慶應義塾大学ハプティクス研究センターと共同で、物に触れたり、持ったりしたときの「硬い」や「柔らかい」といった感覚「力触覚(りきしょっかく)」の情報を無線通信で伝送する実証実験を実施し、第5世代移動通信システム(5G)による力触覚伝送の有用性を確認したと発表した。
今回の実証実験は、同センターが開発した、力触覚の情報を伝送して再現する「リアルハプティクス技術」をコミュニケーションロボットに応用する共同研究の一環として実施したもの。同技術では、現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝送することで、力触覚を再現するという。
実証実験では、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」が装着した力触覚伝送用のグローブと、遠隔地にいる人間が装着した遠隔操作用グローブの間で、力触覚の情報を伝送、再現する実験を、5Gと4Gの無線通信環境下で実施。
リアルハプティクス技術では、リアルタイムかつ双方向に情報を伝送することが必須で、同期性と双方向性が成立しないと、力触覚を再現できなくなる。
実験の結果、4Gでは遅延による影響で双方のグローブの動きにずれが発生し、正確に力触覚を再現できなかった。5Gではその特長である1ms(1000分の1秒)以下の超低遅延性により、遅延による影響を受けることなく、高精度な力触覚の伝送、再現に成功した。
この結果、5Gによる力触覚伝送を活用することで、繊細な力加減が必要とされるロボットなどの遠隔操作が可能になることが分かったとしている。
また、5Gではリアルタイム映像の伝送も可能なため、遠隔地から操作しながら、その様子をリアルタイムにモニターで確認するなど、今後、ロボット分野のさまざまなシーンで活用されることが期待できるという。
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