三菱地所、富士通、ソフトバンク、東京大学大学院工学系研究科 大澤研究室が、業種を超えたデータ活用型の共創活動で新たな事業やサービスの創出を目指す、産学連携の実証実験を開始。電力データ、人流データ、売上データなど、オフィスビルや商業ビルに関する各種データを活用する。
三菱地所、富士通、ソフトバンク、東京大学大学院工学系研究科 大澤研究室(以下、東京大学 大澤研究室)は2018年5月14日、東京・丸の内エリアで、業種を超えたデータ活用で新たな街づくりを目指す実証実験を開始した。データ活用型の共創活動により、街づくりに寄与する新たな事業やサービスの創出とその効果検証を行う。実施期間は、2018年12月31日までの予定。
実証実験では、三菱地所が保有するオフィスビルや商業ビルの設備稼働データ(電力使用量など)や商業施設関連データ(売上、顧客の属性情報など)、ソフトバンクグループが保有する人の流れに関するデータ、丸の内エリアに関わるオープンデータなど、数十種類のデータを富士通のブロックチェーン技術を活用したデータ流通・利活用サービス基盤「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」に蓄積し、参加組織で共有する。
その後、ソフトバンクのプラットフォームなどを活用して、これらのデータを組み合わせて分析を行う。分析には各企業や組織の知見を活用し、業種を超えた新たな事業やサービスの創出を目指すという。
データの活用方法については、東京大学 大澤研究室による、データから効率的に価値を生み出す手法を取り入れる。
丸の内エリアの各種データは、データの概要情報を記述する「データジャケット」形式でデータ流通・利活用基盤に登録した上で共有。データジャケットは、データの詳しい内容は明かさずに、データの概要や取得期間、取得場所などの情報を記述することで、デジタル情報の羅列である実際のデータの価値を人が理解できる形式で記述する手法。
各参加企業は、東京大学 大澤研究室主導でデータの活用方法を検討するワークショップ「IMDJ(Innovators Marketplace on Data Jackets)」を実施する。IMDJは、データジャケットで登録されたデータ情報を基に、データの組み合わせやその分析手法、分析結果を用いた新しいビジネスモデルを提案し評価し合う、グループによるアイデア創出法だという。
さらに、データ流通・利活用基盤を活用した「データジャケットのつながりの可視化」により、丸の内エリアの就業者や来街者などを対象にした新規サービス創出の検討も行う他、データ分析者が実際のデータを基に行動法則などを導き出し、データの活用アイデアを深掘り検討する。
これにより、例えば、オフィスビルの電力使用量データと、ビル周辺の人流データを組み合わせて効果的な販促施策を立案するなど、一見関係ないと思われるデータの組み合わせから新たな価値を生み出すようなデータの活用を目指す。
創出した活用アイデアは、三菱地所が保有する丸の内エリアのオフィスビルや商業ビルなどでサービスの実証実験を行い、実用性を検証していく。
なお、同実証実験では、2018年5月14日の開始以降、データを提供、分析または活用する参加企業や組織を段階的に募っていく予定だという。
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