Cloud Foundry on Kubernetes、その理由とは「KubernetesはIaaS+」(2/2 ページ)

» 2018年05月30日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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 第1に、Cloud Foundryをコンテナ化するため、物理マシンや仮想マシン上にCloud Foundryを直接導入するのに比べ、フットプリントを小さく抑えられる。

 「従って、他のディストリビューションではコストがかかり過ぎて導入に至らなかったような、新しい層のユーザーにとって、手が届くようになる」

 関連して指摘できるのは、SUSEがCloud Application Platformで、パブリッククラウドの多様なKubernetesマネージドサービスへの対応を進めていることだ。バージョン1.1ではMicrosoft Azureの「Azure Container Service」をサポートした。こうして多くのパブリッククラウドが提供している各種のKubernetesマネージドサービス上で、Cloud Foundryを「気軽に」使える環境が整ってくると考えられる。

 第2にファイファー氏が指摘するのは、BOSHを使わなくて済むということだ。

 「BOSHはパワフルだが複雑な技術」だとファイファー氏は述べている。KubernetesにCloud Foundryの管理を任せれば、Kubernetesに慣れた運用担当者が、これに加えてCloud Foundryを動かすだけのために、BOSHを設定し、管理する必要がなくなる。

 「既存のKubernetes環境上で、Cloud Foundryのもたらす開発体験を、かなり容易に追加できることになる」(ファイファー氏)

 つまり、開発者にとっては、「cf push」に象徴されるアプリケーション投入の容易さを提供するためにCloud Foundryを利用することが望ましい。そこで、Cloud Foundry on Kubernetesにより、Kubernetesユーザーである運用担当者にとってのCloud Foundryの導入、運用作業を簡単にすることで、この開発者にとって望ましい環境を、従来よりも提供しやすくできるのだという。

なぜ、Cloud FoundryとKubernetesを横に並べて使うよりもいいのか

 Cloud FoundryプロジェクトおよびPivotalは、BOSHによる管理を通じ、Cloud FoundryとKuberenetesを横に並べて運用する環境を整備する取り組みを進めてきた。

 では、Cloud Foundry on Kubernetesは、なぜCloud FoundryとKubernetesを横に並べて使うよりも優れているのか。ファイファー氏にあらためて聞いてみた。答えは次の通りだ。

 「横に並べることで、顧客はCloud FoundryとKubernetesのどちらも利用できる。これは良いニュースだ。しかし、このアプローチには不要なオーバーヘッドがある。横に並べて動かすと、2つの独立した環境を管理しなければならないことになる。結局のところ、Cloud Foundryが得意なのは、開発体験の部分だ。一方運用面に関しては、アプリケーションを稼働するという点で、KuberenetesがCloud Foundryのインフラと完璧に競合し得る状況になっている」

 「Cloud Foundryの運用基盤としてKubernetesを利用することで、双方の『いいところ取り』ができる。Kuberentesは既に多くの企業で採用されている運用基盤だ。Cloud Foundryは、その本来の目的であるユーザーエクスペリエンスの提供のために使われるべきだ。2つを横に並べて動かすのでは、これらの利点を得るために、2つの別個のインフラを稼働し、管理しなければならなくなる。最終的には、Kubernetes上にCloud Foundryを稼働させる実装により、2つを並列で動かす必要がなくなる。2つの同様な(、そして技術的に競合する)運用インフラを持つ必要はない」

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