Cloud Foundry on Kubernetes、その理由とは「KubernetesはIaaS+」(1/2 ページ)

IBMとSUSEは、サービスとソフトウェアという提供形態の違いはあるものの、どちらもCloud FoundryをKubernetes上で動かすソリューションを推進している。その狙いはどこにあるか。メールインタビューと資料から探る。

» 2018年05月30日 05時00分 公開
[三木泉@IT]

 2018年4月の「Cloud Foundry Summit 2018 in Boston」では、Kubernetes上でコンテナとしてCloud Foundryを動かすCloud Foundry on Kubernetesについて、2つの大きな動きがあった。

 IBMはCloud Foundry on Kubernetesのマネージドサービス、「IBM Cloud Foundry Enterprise Environment 」を発表。SUSEは同社のソフトウェア「SUSE Cloud Application Platform」が、Cloud Foundry FoundationからCloud Foundry Application Runtimeディストリビューションとしての認定を受けたと発表した。

 ただし、いずれもまだ、本格提供には至っていない。

 IBMは、「初期段階のクローズドな『実験的リリース』として、知見を備えたユーザーからのフィードバックを得ることと、システムを注意深くテストすることのためにリリースする。段階的に修正を加えていく。今後はβ版を経て一般提供開始を目指す」としている。

 一方、SUSE Cloud Application Platformは2018年1月に限定顧客を対象としてリリース。2018年4月にはバージョン1.1を提供開始した。少数顧客との協業を通じ、良好な利用体験が得られるよう、取り組みを続けるという。今後数カ月にわたって、対象を拡大していくとする。

「Cloud FoundryはPaaS、KubernetesはIaaS+」

 では、この2社はなぜCloud Foundry on Kubernetesを推進するのか。

 IBMのリードIBM Cloud Foundryアーキテクトであるサイモン・モーザー(Simon Moser)氏は、ブログポストで次のように述べている。

 「(Cloud FoundryとKubernetesは、)コンテナランタイムを動かすという点で非常に大きなオーバーラップがある。そして、この2つのコンテナランタイムの実装方法は異なっている(最終的にはrunc/containerdをベースとすることにはなるが)。(中略)だが一方で、k8s(訳注:Kubernetesのこと)の開発者にとっての使い勝手はとても貧弱だ。一般的にk8sは、『PaaS』というより『IaaS+』と考えられている」

KubernetesとCloud Foundryは抽象度の違いにより、管理者にとっての使い勝手が異なる(出典:モーザー氏のTHINK 2018における講演資料)

 「では、k8sがPaaSというよりも『IaaS+』に近いのなら、CF(訳注:Cloud Foundryのこと)をk8s上で動かせるのではないか? CFの特徴の1つは特定の『IaaS』に縛られないことだ。だからできるはずではないか? そこでわれわれは試してみた」

 モーザー氏たちは、まずCloud Foundryでプロビジョニング/ライフサイクル管理ツールとして使われているBOSHを用い、KubernetesをIaaSに見立ててKubernetesプロバイダーインタフェースを書いたという。だが、Kubernetesはサーバ仮想化などのIaaSに比べて「インテリジェント」であるため、うまくいかなかったという。

 そこでSUSEが開発したfissileおよびSUSE Cloud Foundryに目を付け、これらを使ってCloud Foundry on Kubernetesを構築したという。

 一方、SUSEのプロダクト&テクノロジープログラム担当バイスプレジデント、ジェラルド・ファイファー(Gerald Pfeifer)氏は、筆者のメールによる質問に、次のように返答している。

 「コンテナを動かし、管理するオペレーションタスクに関しては、Kubernetesがリーダーであり、市場に選ばれた存在だといえる。しかし、アプリケーション構築のための開発者にとってのワークフロー機能だ。(一方、)Cloud Foundryはコンテナベースのアプリケーションをパッケージングしてデプロイするための開発者のためのワークフローという点でリーダーであり、数々の企業においてもこれは実証されている。しかし、(Cloud Foundryは)これまで、今日広く普及しているKukbernetesプラットフォームを、オペレーションで活用してこなかった。SUSEがCloud Application Platformを開発したのはそのためだ」

 「アプリケーションのパッケージングおよびデプロイメントについては、Cloud Foundryの非常に効率的なワークフローを手に入れられ、実際には今日のITプロフェッショナルの多くが動かすことを前提としているKubernetesプラットフォーム上に、デプロイできることになる」

 ファイファー氏は、このアーキテクチャが、Cloud Foundryユーザーにとって、2つのメリットをもたらすと答えた。

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