最高技術責任者(CTO)は、CxOの役職の中で最も理解されていないものの1つだ。技術イノベーションをリードするとは、具体的にどのようなことなのか。その答えは企業によって大きく違う。ここでは、CTOの役割を5つのペルソナで考える。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
最高技術責任者(CTO)は、CxO(最高責任者レベル)の役職の中で最も理解されていないものの1つだ。イノベーションのような、抽象的な目標を追求する任務を課されることが多いからだ。こうした分野の成功や進捗(しんちょく)は多種多様な方法で定量化でき、さまざまな文脈でさまざまなことを意味し得る。そのため、CTOの役割自体は一貫した定義がなされていない。
Gartnerのリサーチディレクターを務めるマイク・ウォーカー氏は、CTOを置いている幅広い企業を調査してきた。その過程で同氏は、CTOの役割を解明するのに役立つ5つのペルソナ(典型的な類型)を特定した。
「CTOや他の技術イノベーションリーダーは、これらのペルソナを『自社にはどのようなCTOが最適か』を判断するのに役立てられる」とウォーカー氏は語る。
「さらに、関連するステークホルダーとの関係において自分の立場を明確にし、それに従って期待や目標を設定する上でも、これらのペルソナを考慮に入れるとよい」(ウォーカー氏)
ウォーカー氏が特定したCTOのペルソナ5つの概要は以下の通り。
通常、このタイプのCTOは取締役会レベルの役職であり、企業のビジネス部門やIT部門の最上層部に見られる。これまでのところ、企業がこうしたCTOを置くのは、市場の破壊的変化が著しく進んでいる業種が一般的で、今後もそうだろう。こうした業種には小売り、ハイテク、メディア、通信、銀行などがある。
このタイプのCTOは非常に幅広い役割と影響力を持つ。世界のデジタル化が進む中、あらゆる種類の企業がこうしたCTOを置くようになる可能性もある。だが、CTOがそうした広い担当分野で成果を挙げるには、経営陣がビジョンを掲げコミット(目標必達に向けて後押し)する必要がある。
一般的な担当職務:
このペルソナは通常、IT部門の上級幹部のポストを占め、CIOに直属する。技術ビジョナリー(技術的な先見性のあるリーダー)であり、エンタープライズアーキテクト、イノベーションマネジャー、シェアードITサービスの専門家などのグループを率いている。
多くの場合、このタイプのCTOのアプローチは主要なビジネス機能に対する技術のベストプラクティスの適用を推進するとともに、組織内におけるそうした技術のデプロイをアーキテクチャの観点から監督するというものだ。
一般的な担当職務:
チーフアーキテクトと呼ばれることもあるこのタイプのCTOは、中小企業やビジネスおよび技術の専門知識の提供に特化した業種に多く見られる。
一般的な担当職務:
これは、IT部門や技術部門にソートリーダーシップやイノベーションを求めない企業で一般的なペルソナだ。
通常、IT部門の人数が多い非常に大きな企業では、CTOは主に日々のIT運用を統括している。そのおかげでCIOは、そうした仕事から解放され、ビジネス全体にわたる戦略レベルの仕事に取り組める。
一般的な担当職務:
技術が製品やサービス、その提供の主要部分を担う業種では、CTOはその技術(オペレーショナルテクノロジー〈OT〉と呼ばれることもある)の統括責任者を指すことが多い。例えば、通信企業ではCTOは通信ネットワークを統括する可能性があるが、CIOは社内ITを統括する。このシナリオでは、CTOとCIOは多くの場合、指揮命令系統が異なる。
一般的な担当職務:
「これらのペルソナは、CTOの類型を網羅しようとしたものではなく、実務の参考になることを目的としている」とウォーカー氏は説明する。
「実際、ハイテク業界の企業を見ると、一般的なペルソナは他にももっとある。CTOが技術エバンジェリストを務めたり、さらにはコア製品の発明や設計を指揮したりすることもよくある」(ウォーカー氏)
最も重要なことは、CTOとその組織が「自社固有の文脈における自分たちの役割は何か」「その定義を全ての関係者にどう明確に伝えるか」について見解が一致していることだと、ウォーカー氏は述べている。
出典:Understand the 5 Common CTO Personas(Smarter with Gartner)
Manager, Public Relations
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