Microsoft 365 Businessは、最新の32bit版Officeアプリを管理対象のWindows 10デバイスに自動インストールする機能を提供します。この機能は、Microsoft 365 Businessの管理ポータルで「Officeの展開の管理」を開き、「すべてのユーザー」または管理者が作成したセキュリティグループに対して「できるだけ早くOfficeをインストールする」を構成するだけで行えます(画面4)。
同じ手順で、Officeアプリの自動アンインストールを指示することも可能です。
Windows 10デバイスのユーザー側では何も操作する必要がなく、自動的に「Officeクイック実行(Click To Run:C2R)」クライアントが展開され、ダウンロードとインストールがバックグラウンドで行われます。
インストールの進行状況はユーザーには見えませんが、「タスクマネージャー」では「Microsoft Office Click To Run(SxS)」プロセスが動作していることを確認できるでしょう。インストールが完了すると、スタートメニューにOfficeアプリのアイコンが登録され、利用可能になります(画面5)。
「Outlook」のメール設定や「OneDrive for Business」の同期設定では、ユーザーの資格情報の入力が必要な場合もありますが、ほとんどの作業環境は自動的にセットアップされます。
Microsoft 365 BusinessのOfficeアプリは、クイック実行版のOffice 365 Business(月次チャネル)です。クイック実行版のOfficeアプリは、Officeアプリに組み込まれた自動更新機能で自動的に最新バージョンに更新され、新機能が追加されます。
Microsoft 365 Businessには、簡易的なデバイス管理機能があります。Windows 10デバイスに対しては、「会社のデータの削除」や「出荷時の設定にリセット」をリモートから実行できます(画面6)。これらの機能は、デバイスの紛失時や廃棄時にクリーンアップするのに利用できます。
「会社のデータ」は、会社アカウントによるAzure AD参加設定、Officeアプリ、パスワード要件などのポリシー設定のことです。会社データを削除すると、Microsoft 365 Businessの管理対象ではなくなり、会社アカウントではサインインできなくなります。また、Windows 10 BusinessはWindows 10 Proに戻ります。
「出荷時の設定にリセット」は、Windows 10の「設定」アプリの「更新とセキュリティ」→「回復」から実行できる「このPCを初期状態に戻す」→「すべて削除する」と同様の操作が、リモートから実行されます。多少のタイムラグはありますが、「出荷時の設定にリセット」を実行すると、Windows 10デバイスが再起動されて、初期化処理が始まります(画面7)。完了すると、そのデバイスで実行していたバージョンのWindows 10 Proをクリーンインストールしたのと同じ状態で起動します。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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