富士通の調査によると、デジタル革新は具体的なビジネス成果を生み出すフェーズに移行しており、金融・流通は約30%が既にデジタル革新の成果を創出していた。デジタル革新の成功要因は「リーダーシップ、人材、エコシステム」など、6つの要素があることが判明した。
富士通は2018年7月12日、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)などの最先端技術によるデジタル革新の動向・実態把握を目的とした「Fujitsu Future Insights グローバル・デジタル革新調査レポート 2018」を発表した。
同レポートは、世界16カ国(オーストラリア、カナダ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、インドネシア、日本、韓国、ニュージーランド、シンガポール、スぺイン、スウェーデン、タイ、イギリス、米国)の主要産業に属する大企業、中堅企業の経営層や意思決定者1535人を対象に、2018年2月に実施したデジタル革新に関するグローバル調査結果をまとめたもの。
同社によると、AIやIoTなどの最先端技術がもたらすデジタル革新は、戦略企画の段階から具体的なビジネス成果を生み出す実行の段階へと移行しており、顧客企業のデジタル革新を適切に支援するには、業界ごとに企業のデジタル革新の状況やニーズを的確に把握することが重要だという。
今回の調査では、各業界のグローバルなデジタル革新の取り組み状況や課題とともに、デジタル革新によってビジネスの成果を生み出すための6つの成功要因や、AIが効果をもたらすビジネス領域などについて有益な洞察が得られたとしている。
調査結果によると、金融、製造、医療業界では、業務の効率化がデジタル革新に取り組む主要な動機となっている一方、運輸業界では競合の脅威への対応、流通業界ではビジネスの成長などが主となっていることが分かった。
各企業は、自社のコアビジネスのデジタル化に注力してデジタル革新の取り組みを進めており、最も進行しているのは金融業界だった。調査対象となった金融サービス企業では、約9割が既に取り組みを進めているという。
デジタル革新の成果としては、各業界で多くの企業がビジネスの成果を創出しており、特に金融や流通では、取り組みの約30%で既に成果を出していることが判明した。その他の業界では、運輸(25%)、製造(21%)、医療(14%)でビジネス成果を生み出している。
成果を出した企業の分析から、デジタル革新の成功に強く影響する要因は「トップのリーダーシップ」「デジタル革新に必要なスキルを持つ人材の確保」「組織の俊敏性」「デジタル技術とビジネスとの融合」「パートナー企業とのエコシステム構築」「データからの価値創出」の6つであることが明らかになった。これらは、デジタル革新を成功に導くために強化が必要な組織能力といえるという。
また、同社は、この6つの成功要因を人の身体に例えて、デジタル革新に必要な筋肉「デジタル・マッスル」と命名し、鍛えることが不可欠としている。
さらに、AIがもたらすビジネスインパクトについては、各国のビジネスリーダーとも肯定的であり、回答者の68%は人とAIが協力して仕事を行うようになると考え、61%はAIが新たな雇用を創出すると考えていることが分かった。
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