【トレースフラグ 2549】──DBCC CHECKDBにおけるデータファイルとドライブの配置条件を変更するSQL Serverトレースフラグレファレンス(39)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ2549の詳細と使い方」を解説します。

» 2018年08月13日 05時00分 公開
[内ヶ島暢之@IT]

SQL Serverトレースフラグレファレンス一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。

 今回は「トレースフラグ2549」の詳細と使い方を解説します。

 トレースフラグ2549は、DBCC CHECKDBにおけるデータファイルとドライブの配置条件を変更する設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。

 SQL Serverのデータ整合性チェックを行うDBCC CHECKDBの実行時間を短縮したいという要望を受けることがあります(SQL Serverトラブルシューティング(14))。昨今のデータ量増加に従って、整合性チェックの実行時間も比例して増加しているようです。DBCC CHECKDBの実行が業務時間帯に重なると、DB全体のパフォーマンスへの影響に懸念があります。

 チューニングの手法は複数あります。手早くできる手法としてはPHYSICAL_ONLYオプションを利用して、物理的な整合性確認だけに特化します。この他、SQL Server 2008 SP2 CU9以降で導入されたトレースフラグ2549を使うことで、ディスクとデータファイルの関係を基にした条件を見直し、パフォーマンス向上の可能性が開けました。

設定可能なスコープ

トレースフラグ2549
設定方法 可/不可 要/不要
スタートアップ
グローバルスコープ
セッションスコープ
クエリスコープ
トレースフラグ 3604/3605 不要

動作例

 トレースフラグ2549を有効にした場合と無効にした場合、DBCC CHECKDBの実行状態にどのような違いが現れるのかを図1に示しました。

図1 図1 トレースフラグ2549の有無によるSQL Serverの動作の違い トレースフラグを有効にした場合(右側)はデータファイルが同じドライブ(例えばXドライブ)に配置されていたとしても、内部的には異なるドライブ(X、Y、Zドライブ)にそれぞれ配置されているかのようにリスト作成を行う

 DBCC CHECKDBコマンドではどのページを読み込むのか、内部的にリストを作成します。このとき、データファイルの配置されているディスクが異なっているかを判断するために、ファイルパスのドライブレターを使います。

 トレースフラグ2549を有効にすると、全てのデータファイルがそれぞれ個別のディスクに配置されている条件を想定して内部リストを作成します。すると、単独のドライブが複数のディスクで構成されている場合や、マウントポイントを使ってデータファイルを配置している場合にパフォーマンス向上の可能性があります。

 配置しているディスクの性能や構成に依存するため、必ずしも性能が向上するわけではないことに注意が必要です。

 ※本Tipsは、Windows Server 2012 R2上に「SQL Server 2016 RTM」をインストールした環境で解説しています。

筆者紹介

内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)

ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。

椎名 武史(しいな たけし)

ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。


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