「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用している管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ2566の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ2566」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ2566は、DBCC CHECKDBのデータパリティチェックを無効にする設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。
SQL Server 2005以降で作成したデータベースに対してDBCC CHECKDBを実行するとデータパリティチェックが始まります。データパリティチェックでは、それぞれの列のデータが、定義された型の正しい範囲内にあるかどうかを確認しています。実際にはデータの挿入時や変更時にも範囲のチェックを実行しているため、基本的に範囲外のデータがデータベース内に存在することはありません。
しかし、DBCC CHECKDBコマンドには、データパリティチェックを実行する引数はありますが、実行させない引数がありません。トレースフラグ2566を有効にするとデータパリティチェックを実行せずに、DBCC CHECKDBを進行できます。チェック項目が減るため、DBCC CHECKDBの実行速度を改善できる可能性があります。
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
TIME列へ24:00:00のデータを挿入しようとすると、型の範囲外のデータであるため、その時点でエラーが発生します(図1)。
範囲外のデータが含まれることがないと想定し、トレースフラグ2566を有効にしてDBCC CHECKDBを実行すると、実行時間が短くなりました(図2)。
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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