「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用を運用している管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ3042の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ3042」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ3042は、バックアップファイルの事前割り当てを無効にする設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。
データベースをバックアップする際にバックアップ圧縮を使用すると、必要なバックアップファイルのサイズが小さくなります。
しかし圧縮後のサイズを完全に推測することは難しいため、SQL Serverは事前割り当てアルゴリズムを使用して、最初にある程度のサイズのバックアップファイルを作成します。バックアップ中に容量が足りなくなった場合は拡張し、最終的に容量が余った場合には縮小します。
トレースフラグ3042を有効にすると、事前割り当てアルゴリズムを使用したバックアップファイルの事前容量確保を実施せず、必要な分だけ拡張できます。ディスク容量に余裕がない場合などでも、バックアップを採取できることがメリットです。
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
作成されたバックアップファイルのサイズを図1下のPowerShellで確認しながら、バックアップを実行しました。バックアップ圧縮を有効にしてバックアップを採取すると、最初に事前割り当てアルゴリズムで算出されたサイズのバックアップファイルが作成されました。その後、バックアップが終了するタイミングで不要な領域が解放されました。
トレースフラグ3042を有効にすると、バックアップファイルが徐々に大きくなり、必要な容量のみ確保され続けました(図2)。
トレースフラグ2453を有効にすると、バックアップファイルのサイズを徐々に拡張するため、事前割り当てアルゴリズムを使用して事前に容量を確保するよりもバックアップ時間が長くなる可能性があるため、注意が必要です。
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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