筆者は、デスクトップPCから隣のノートPCにRDP接続し、同じディスプレイ上で2台のPCのデスクトップ環境を同時に利用しています。しかし、そもそもRDP接続は、PCに手の届かないリモート環境での利用を想定したものであり、接続先のリムーバブルメディアの抜き差しを伴うような操作が既定で想定されていないのはもっともなことです。
では、接続元のUSBデバイスをRDP接続セッションで利用できる「RemoteFX USBデバイスリダイレクト」の場合はどうでしょうか。USBメモリをリダイレクトして試してみました。
RemoteFX USBデバイスリダイレクトは、もともとWindows Serverの「リモートデスクトップサービス(RDS)」で構築した仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の機能であり、Hyper-VホストのGPU要件や接続先のゲストOSのEnterpriseエディション要件がありました。
しかし、Windows 10 バージョン1607からは、接続先がWindows 10 ProやWindows Server 2016の場合でも利用可能になっています。なお、RemoteFX USBデバイスリダイレクトを利用するにはポリシー設定が必要ですが、今回は説明を省きます。
通常、USBメモリは、RemoteFX USBデバイスリダイレクトではなく、RDPの「ドライブリダイレクト」機能でリダイレクトされます。接続元でUSBメモリを取り出した状態(実際には抜かない)にすれば、RemoteFX USBデバイスリダイレクトでもリダイレクトできます(画面7)。
RemoteFX USBデバイスリダイレクトにより、RDP接続セッションで利用可能になった接続元のUSBメモリは、ローカル(接続先)に接続されたUSBデバイスとして認識されて、ローカルのUSBメモリと全く同じように読み書きできます。
早速、フォーマットを試してみたところ、また不可思議な現象に遭遇しました。このユーザーは管理者ユーザーなので、ローカル接続のUSBメモリならリムーバブル記憶域のポリシーに関係なく、フォーマットできます。
しかし、RemoteFX USBデバイスリダイレクトのUSBメモリを、エクスプローラーからフォーマットしようとしても何も起こりません。コマンドプロンプトからフォーマットしようとしても、アクセスが拒否されます。そして、管理者権限でコマンドプロンプトを開くと、そのドライブは見えなくなります。つまり、どうやってもフォーマットできないのです(画面8)。
フォーマットできないUSBメモリは接続元にあるわけですから、フォーマットしてから接続すればよい話なので、これ以上は突っ込んだ調査はしませんが、面白いものを見ることができました。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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