複数モジュールでのデータ連携が課題、中小企業のRPA活用実態【訂正あり】

ノークリサーチは、RPA(Robotic Process Automation)に関する調査レポートを公開した。対象は中小企業。複数の業務アプリケーションモジュールを連携できないなどの課題が浮き彫りになった【訂正】。

» 2018年09月26日 13時30分 公開
[@IT]

 ノークリサーチは2018年9月25日、年商500億円未満の全業種の中堅中小企業1300社を対象としたRPA(Robotic Process Automation)に関する調査レポート「2018年版中堅・中小企業におけるRPA活用の実態と展望レポート」を発表した。

【訂正あり】本記事は、初出時より訂正した箇所があります。

 「RPA導入済み」あるいは「RPA導入予定」と回答した企業では、「人手による作業をゼロにできない」あるいは「自動化できる業務内容がどれか分からない」と回答した割合が多かった。

RPA活用における課題(出典:ノークリサーチ

 具体的には、RPA導入済み企業では「人手による作業をゼロにできない」が28.2%、「自動化できる業務内容がどれか分からない」が30.4%。RPA導入予定の企業ではそれぞれ、29.4%と27.3%だった。

 これに対してRPA導入を「現時点では判断できない」と回答した企業では、「人手による作業をゼロにできない」が最も多く30.5%を占めた。これはRPA導入済みや導入予定の企業と同じ傾向だが、「自動化できる業務内容がどれか分からない」は18.5%とやや割合が低かった。この結果についてノークリサーチは、RPAの活用が進むにつれて自動化すべき業務の選定に悩む企業が増えていると分析している。

データ連携に課題あり

 次に、ERP(Enterprise Resource Planning)や生産管理、会計管理など10分野のITアプリケーションを対象として、これらのアプリケーションを導入済みの企業が抱えている課題に、RPAの活用度による違いがあるかどうかを分析した。

 例えばERPについて見てみると、RPAの導入に積極的かどうかで、傾向が異なることが分かった。

 RPAを既に導入している企業では、「複数のモジュールの間でデータを連携できない」という回答が39.4%で最も多く、「データの集計/分析結果を経営に生かせない」の26.0%、「最新バージョンへの移行が困難」の14.4%がそれに続いた。

ERPにおける課題(出典:ノークリサーチ

 一方、RPAの導入を検討している企業では、「データの集計/分析結果を経営に生かせない」と回答した割合が最も多く22.0%を占めたが、「複数のモジュールの間でデータを連携できない」も16.9%あった。

 これに対してRPA導入を判断できない、つまりRPAの導入を検討していない企業では、「データの集計/分析結果を経営に生かせない」と「最新バージョンへの移行が困難」がどちらも13.3%で最も多く、「複数のモジュールの間でデータを連携できない」と回答した割合は6.7%にすぎなかった。

 この結果についてノークリサーチでは、「ERPは会計、販売、人事給与などのモジュールによって構成されており、それらが適切に連携することで業務効率を改善する。だが、中堅中小企業向けのERPはそれぞれのモジュールが独立したアプリケーションとなっている場合が多いため、データ連携に関連する課題が生じ、それらを補う手段としてRPAが導入/検討されている」としている。

【おわびと訂正:2018年9月27日15時20分 訂正前の記事本文中に『まず、「RPA導入済み」「RPA導入予定」「現時点では判断できない」と回答した割合は、それぞれ34.6%(450社)、25.3%(330社)、28.2%(367社)だった。』という表記がありましたが、34.6%、25.3%、28.2%という割合の数値は、中堅中小企業1300社を基に行われた調査ということで、450社、330社、367社という数値から編集部が独自に計算し、「RPAの導入率」として算出したものです。『実際には「ERPに付いている、一部を自動化する機能」をRPAと回答している例もあり、世間一般で言われている「RPAの導入率」とは異なる』旨をリリース発行元であるノークリサーチからご指摘いただきました。本文やタイトルなど編集部が独自に算出した「RPAの導入率」に関する表記を削除し、訂正します。内容に不備があったこと読者ならびに関係者におわび申し上げます。】

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