RemoteFX vGPUの最新情報を探していたところ、以下のMicrosoftのサイトで「開発を行っていない機能(Features we’re no longer developing)」にRemoteFX vGPUが含まれていることを確認できました。
ここではRemoteFX vGPUについて、次のように説明されています。
仮想化環境のための新しいグラフィックアクセラレータオプションを開発しています。個別のデバイスの割り当て(DDA)を代わりに使用することもできます。
“仮想化環境のための新しいグラフィックアクセラレータオプション”がどのようなものになるのかは、現状、これ以上の情報は見つかりません。
代替機能として紹介されている「個別のデバイスの割り当て(Discrete Device Assignment:DDA)」は、Windows Server 2016 Hyper-Vで追加された新機能です(クライアントHyper-Vは非サポート)。
Hyper-Vホストに実装されたPCIeハードウェアデバイス(グラフィックスカード、RAIDコントローラー、NVMeカードなど)を、Hyper-V仮想マシンに個別に割り当てることを可能にします。ゲストOSとしては、Windows 10、Windows Server 2016、Windows Server 2012 R2と、幾つかのLinuxがサポートされています。
DDAは、RemoteFX vGPUのようにGUIで簡単に構成できるものではありませんし、RemoteFX vGPUよりもHyper-Vホストのハードウェア要件および仮想マシンのゲストOSのシステム要件が厳しくなります。
DDAとRemoteFX vGPUとの違いやDDAのセットアップ方法など、詳しく知りたければ、以下のドキュメントを確認してください。残念ながら、筆者の手元にはDDAで利用できるハードウェア環境がないので、どのようなものか実際には分かりません(画面6)。
Azure仮想マシンの「Nシリーズ」は、おそらくDDAと同様のテクノロジーを利用して、NVIDIA GPUを備えた仮想マシンを提供しているようです。試してみたことがないので想像でしかありませんが、ゲストOSの要件がDDAと共通です。
DDAについて興味がある場合は、取りあえずAzureで試してみるのも手かもしれません。ただし、このシリーズは多くのリソースが割り当てられており(最小6コアのvCPU、56GBメモリから)、時間単位のコストが高いことに注意してください。また、利用可能なリージョンが制限されること、サブスクリプションの種類によってはコア数のクオータ制限(Nシリーズでは利用できない場合がある)ことにも注意してください。
繰り返しますが、DDAは現在のRemoteFX vGPUの利用シナリオを、そのまま代替できるものではありません。RemoteFX vGPUを置き換える新しいグラフィックアクセラレータオプションは、少なくともWindows Server 2019には搭載されていないようです。現時点で、どのようなものになるのかさえ分かりません。
現在、RemoteFX vGPUを業務に利用している場合、RemoteFX vGPUが割り当てられた仮想マシンは、Hyper-VホストをWindows Server 2019にアップグレード後も機能するはずです。Hyper-Vホストのアップグレード後は、Hyper-Vホスト側の設定はPowerShellコマンドレット(Enable-VMRemoteFXPhysicalVideoAdapterなど)を使用することになると思います。不明確な部分があるため、アップグレードを予定している場合は、事前にしっかりと検証してください。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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