Microsoftは「Visual Studio 2017 15.9」を正式リリースし、64bit Armアプリケーションを開発するためのSDKやツールの正式サポートを開始した。
Microsoftは2018年11月15日(米国時間)、「Visual Studio 2017 15.9」を正式リリースし、64bit Arm(Arm64)アプリケーションを開発するためのSDKやツールの正式サポートを開始したと発表した。Microsoft Storeでは、Arm64アーキテクチャに基づくアプリの提出を正式に受け入れ始めたという。
Microsoftは、ホリデーシーズン(年末商戦)が始まって間もない絶好のタイミングで今回のニュースを届けることができたと自賛している。今回のホリデーシーズンでは、パートナーのLenovoとSamsungがそれぞれ新しい“Windows 10 on Arm”デバイス(Windows 10が動作するArmプロセッサ搭載デバイス)を提供しているからだ。
両社のWindows 10 on Armデバイスは、QualcommのSoC(System on Chip)の一つ「Snapdragon 850」を搭載する第2世代のArm64デバイスだ。開発者が利用できるコンピューティング能力が向上しており、顧客がWindows 10 on Armデバイスに期待する、1日以上利用可能なバッテリーも備えている。さらに、第1世代のArm64デバイスと同様に薄型、軽量、高速で、すぐに4G LTE接続を利用できるよう設計されている。x86エミュレーションレイヤーを備えているため、幅広い既存のWindowsアプリケーションも実行できる。
開発者がVisual Studio 2017 15.9を使って、ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリケーションや、C++ Win32アプリケーションを再コンパイルすることで、Windows 10 on Armデバイス上のネイティブ動作が可能になる。ネイティブ動作によって、アプリケーションがWindows 10 on Armデバイスの処理能力と機能をフルに利用できるようになり、ユーザーに最良のエクスペリエンスを提供できる。
まず、開発環境をVisual Studio 2017 15.9にアップデートする。Arm64 C++ Win32アプリケーションを作成する場合は、次のように、「Visual C++ compilers and libraries for ARM64」をインストールしておく。
アップデート後、新しいUWPプロジェクトでは、使用可能なビルド構成として「ARM64」が表示されるようになる。
既存プロジェクトや、C++ Win32プロジェクトでは、ARM64構成をプロジェクトに追加する。
「ビルド」をクリックすると、Arm64バイナリが実行できるようになる。
アプリケーションのデバッグでは、リモートデバッグを利用できる。リモートデバッグはArm64でも完全にサポートされており、ツールとリモートデバッグ手順に関するドキュメントもダウンロードできる。サイドロードパッケージを作成するか、バイナリをWindows 10 on Armデバイスに直接コピーして、作成したアプリケーションを実行できる。
アプリケーションを顧客に提供する方法の一つは、Microsoft Storeに提出することだ。Microsoft Storeは、C++版と.NETネイティブ版のArm64 UWPアプリケーションを受け入れている。デスクトップブリッジを使ってArm64バイナリをラップし、Microsoft Storeに提出可能なパッケージを作成できる。また、Win32アプリケーションのArm64専用版を開発者自身のWebサイトでホストしたり、既存のマルチアーキテクチャインストーラにArm64を統合したりできる。
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