IBMがクラウド関連の新サービスを発表した。ハイブリッドマルチクラウド戦略を採用した企業が、ビジネストランスフォーメーションを加速する際の複雑なプロセスを支援するという。
IBMは2018年11月16日(米国時間)、クラウド関連の新サービスを発表した。企業がアプリケーションをクラウドに移行してモダナイズし、ハイブリッドマルチクラウド戦略を採用してビジネストランスフォーメーションを加速する複雑なプロセスを支援するという。
IBMのサービス部門「IBM Services」が、クラウド移行ソリューション「IBM Cloud Migration Factory」の新機能を利用して、新しい自動化ツールを活用したサービスを展開する。このサービスによって企業のインフラやデータ、アプリケーション、ワークロードの移動とモダナイズに必要な時間が短縮される。
IBMは今回のサービスが必要な理由をまとめた。「ほとんどの企業は現在、クラウドへの取り組みの初期段階にある。次の段階でビジネスモデルとプロセスのイノベーションを実現しようとする企業では、マルチクラウド環境でアプリケーションを開発、実行、デプロイするためのオープンアプローチが必要になる」
IBM Institute for Business Valueの調査では、回答企業の98%が、2021年までにさまざまなハイブリッドクラウドを使用する計画だという。
IBM Cloud Migration Factoryは、アプリケーションをクラウドに移行し、クラウドプラットフォームでポートフォリオをモダナイズするためのIBMの方法論「Cloud Innovate」に基づいている。IBM Servicesは、これまでに10万件以上の移行を完了させ、顧客が適切なクラウド導入戦略を選択できるよう支援するとともに、マルチクラウドプラットフォームのサポートを提供してきた。
IBM Cloud Migration Factoryは新しい自動発見ツールやAI機能、アクセラレーターなどのツールセットを備えており、IBM Servicesが顧客のIT環境を的確に理解し、ビジネスに支障がないようにアプリケーションとデータをどこに移動するかを適切に計画するための洞察を収集する。
この新しいツールセットには、IBMが長年手掛けてきた複雑な移行やモダナイゼーションプロジェクトを通じた学習に基づき、深い洞察を導き出すアルゴリズムが含まれる。これらのアルゴリズムは、依存関係や技術、プロセスの課題をライフサイクルの早期に発見することで、計画の精度向上やリスクの軽減を支援する。IBM Cloud Migration Factoryはこうした革新的な機能により、マルチプラットフォームでの円滑かつ迅速なクラウド導入を可能にする。
IBMは、企業がハイブリッドマルチクラウド戦略を進める難しさを次のように説明している。
「既存インフラからクラウドへの安全でシームレスな移行を実現するのは厄介なプロセスであり、通常、リホスティングやリプラットフォーミング、リアーキテクティング、モダナイゼーションを含む多角的なアプローチが要求される。これらを実行するには、準備状況や、移行するアプリケーションの数に応じて、数週間〜数カ月かかる」
「ハイブリッドなマルチクラウド環境を構築する中で、企業は、大量のデータやサービス、ワークフローを、ビジネスに支障なく移動し、管理しなければならないという課題に直面する。信頼性の高い、実行可能な迅速なアプローチを構築するには、移行パターン、リスク、依存関係に関する適切な洞察が必要になる」
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