富士キメラ総研は「業種別ITソリューション市場 2019年版」を発表した。2022年度のITソリューション市場は、2017年度比111%の4兆7091億円に拡大すると予想した。業種別では金融業と製造業の占める割合が大きい。ソリューションの提供形態別では、パッケージソフトウェアとクラウドが市場をけん引し、個別開発は縮小する見込み。
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富士キメラ総研は2019年1月15日、国内ITソリューション市場について、業種別、提供形態別の調査結果「業種別ITソリューション市場 2019年版」を発表した。
国内ITソリューション市場全体の規模は、2017年度の4兆2360億円に対して、2022年度は4兆7091億円に拡大する見込み。業種別では金融業と製造業の占める割合が7割以上を占める。
2017年度に最も大きな割合を占めた金融業は、今後の伸びが緩やかになると見込んだ。基幹系システムや勘定系システムの導入は、既にリプレースが中心だからだ。
それに対して製造業の需要は、今後堅調に推移する見込み。これまでは業務に適応したシステムを部門ごとに導入していたが、最近は全社一貫のデータ管理を目的とした共通プラットフォームの導入が進んでおり、システム統合による製造コスト削減や製造期間の短縮などに向けた動きが活発化しているためだ。
富士キメラ総研では、2022年度の製造業向けITソリューション市場は2017年度比17.0%増の1兆7088億円と見込み、最も規模が大きくなると予想する。
外食業向けは、規模は小さいものの伸び率は大きい。2022年度の市場規模は2017年度比125.6%の422億円と見込む。2018年度と2019年度は、軽減税率や消費税率引き上げなどの対応による基幹系システムやPOSシステムの改修、変更などの特需が期待されるとした。大規模や中規模のチェーン店では外食業向け基幹系システムの導入は一巡したが、小規模チェーン店での導入が活発化しているという。
また、外食業界では、複数のグルメサイトからの予約などで管理が煩雑になる中、予約管理や空席情報管理などグルメサイトとデータ連携が行える予約管理システムへの需要が高まっている。当初は個人店や小規模チェーンが導入の中心だったが、利便性の高さが認知されるに従い、中規模チェーンへの導入が進んでいる。今後もこの市場は拡大すると、富士キメラ総研は予想する。
提供形態別に見たITソリューションについても予測した。クラウドは低価格で導入が可能であり、自社インフラの調達や運用が不要であることから、中小規模企業を中心に新規導入が進んでいる。2022年度の市場規模は、2017年度比29.3%増の1兆429億円を見込む。
これに対して、個別に開発するスクラッチは、基幹系システムの構築が一巡していることや、システムの運用負担軽減を目的に需要が他の形態に移行していることから、市場規模が縮小する。
パッケージソフトウェアは、クラウドと共に市場をけん引すると予測した。スクラッチからの移行に加えて、クラウドと比較すると柔軟なカスタマイズが可能なことから大規模企業を中心に導入が進んでいるためだ。
業種別ITソリューション市場 2019年版で調査の対象とした業種は、農業、建設業、製造業、運輸業、小売業、金融業、不動産業、宿泊業、外食業、社会福祉/介護事業を含む医療業、地方公共団体の11種。ITソリューションの提供形態については、スクラッチ、パッケージ、クラウドの3つに分類した。
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