ガートナージャパンは国内企業のアプリケーション開発に関する調査結果を発表した。現在はウオーターフォール型を採用する企業が多いものの、アジャイル型へ移行しようとしている企業が増えている。この傾向は従業員数規模が大きな企業で顕著だった。
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ガートナージャパンは2019年2月21日、国内企業のアプリケーション開発に関する調査結果を発表した。それによると、ウオーターフォール型以外の開発手法を採用する企業が今後増える見込みだ。
ガートナージャパンは、アプリケーションの開発手法を、(1)ウオーターフォール型、(2)反復型、(3)アジャイル型の3つに分類している。このうち、ウオーターフォール型を採用している企業の割合は43%で、最も多かった。これに対して、アジャイル型は17%、反復型は16%だった。
今後の動向ではウオーターフォール型が減少する傾向がはっきり現れた。採用中の手法を今後縮小予定だとした割合は、ウオーターフォール型が15%で最も多く、アジャイル型は2%、反復型は1%だった。
現在は採用していないが、今後採用予定だという手法については、ウオーターフォール型が最も少なく2%で、アジャイル型は13%、反復型は9%だった。
開発手法の採用状況を、企業の従業員数規模別で分類すると、従業員数2000人以上の企業ではウオーターフォール型を採用中と回答した割合が86%に上った。ただし、そのうち35%が今後縮小予定だとしている。
これに対してアジャイル型については、約70%が採用中や採用予定の段階にあると回答した。従業員数規模が大きい企業で、アジャイル型への関心が非常に高かった。
部門ごとの開発手法も調べた。IT部門が関与しないビジネス部門主導の開発については、現在採用していると回答した割合は14%、今後採用予定は6%あった。
同社の調査によれば、モバイル機器向けのアプリ開発やRPA(Robotic Process Automation)の実装をビジネス部門が主導する案件は増加傾向にある。ベンダーやシステムインテグレーターが顧客企業のビジネス部門と直接商談するケースも増えつつあるという。
これらの調査結果についてガートナージャパンのアナリストでシニアディレクターを務める片山治利氏は次のように述べている。
「デジタルビジネスの時代では、企業を取り巻く環境が不確実で変わりやすく、アプリケーションに対するビジネス部門の要求も変化しやすい。そのためアプリケーション開発は、ビジネス部門の要求の変化に機敏に対応できることと同時に、企業のビジネス価値を生み出すことが求められている」
「企業のアプリケーションリーダーは、自社のビジネス価値の創出につながるよう、新しい手法を積極的に研究し、採用する姿勢を持つ必要がある。従来のアプローチを変えず、変化への対応を怠ることは、もはや許されない状況にある。品質やコストの課題を早期に解決し、自社のビジネスに貢献するアプリケーションを開発できる次元へと、IT部門は自ら移行していく時期に来ている」
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