Veeam Softwareが発表した企業のデータ管理に関する調査レポートによると、73%の企業でデータへのアクセス中断が原因で損失が発生し、その損失額は年間2000万ドルに上ることが明らかになった。
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Veeam Software(以下、Veeam)は2019年6月4日、企業のデータ管理に関する調査レポート「2019年Veeamクラウド・データ・マネジメント・レポート」を発表した。それによると、73%の企業でデータやサービスへのアクセス中断が原因で損失が発生し、その損失額は標準的な企業で年間2000万ドルに上ることが明らかになった。同レポートでは、企業は強固なデジタル基盤を求めており、そのためにはデータの確実なバックアップと可用性の確保が必要だとしている。
企業は、ビジネスの成功を収めるために、クラウドやビッグデータ、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの技術を取り入れている。Veeamによると、これらに向けた2019年の投資は、平均4100万ドルと見込まれている。こうした中、今回の調査対象となった企業の半数近くが、投資を生かすにはデータ保護が不可欠だと認識していた。
一方「現在自社のバックアップソリューションを十分信頼できる」と回答した企業は37%にすぎなかった。73%の企業は、利用部門の要求に応えきれていないと回答した。ただし、調査対象企業の半数以上は、データマネジメントやマルチクラウドソリューションを導入して、この問題に対処する予定だという。
国によってビジネスのデジタル化への取り組みに大きな開きがあることも分かった。Veeamは「現在は経済大国であっても、デジタルイノベーションへの投資が遅れている国がある」と指摘する。
調査対象のうち、十分なデータ管理ができていると回答した企業は日本で41%、ブラジルでは48%だったのに対して、フランスとドイツでは25%程度、英国では11%だった。今後の投資予定額についても格差が見られた。今後12カ月間でインテリジェントなデータ管理のために計画している平均投資額は、日本が1億500万ドル、ブラジルが7300万ドルだったのに対して、英国は1400万ドル、中国は1700万ドル、米国は3800万ドルだった。
Veeamの共同創業者でセールス&マーケティング担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるRatmir Timashev(ラトミール・ティマシェフ)氏は「企業間で国際的なデジタル化投資競争が進んでおり、先進国であってもデジタル化から取り残されるリスクがある。データをインテリジェントに管理するには、デジタル基盤を整備することが不可欠だ。企業内での統合を進め、IT部門と事業部門が協調的に行動して、企業文化や技術の観点から、問題に対処する必要がある」と述べている。
Veeamのレポートによると、企業はクラウドデータマネジメントやAIなどの技術を活用して、インテリジェント化の努力もしているという。そしてこうした変革を進める企業は、世界的に共通する次の4つの要素に焦点を当てていることが分かったとしている。
ティマシェフ氏は「企業は、今がデータドリブンの時代であることを認識しなければならず、データ保護、つまり常に可用性を確保しながらデータの価値を高めることによってビジネスを加速しなければならない。データ保護はもはや、可能な範囲で対応すべき課題ではなく、不可欠なものだ。データが持つ力を引き出せれば、大きなビジネスチャンスと競争優位を得られる」と述べている。
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