IDC Japanが発表した、サーバ向けOSの国内市場予測によると、2019年の成長率は6.2%。Windowsは「Windows Server 2008」のサポート終了に伴う特需で、2019年は対前年比8.8ポイント増の見込み。Linuxは引き続き2桁成長が続く。
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IDC Japanは2019年8月5日、サーバ向けOSの国内市場について、2018年の実績と2019年から2023年の予測を発表した。それによると、2018年の市場規模は、対前年比7.5ポイント増の841億4800万円。2019年の成長率は6.2%の見込みだが、2020年以降は成長が鈍化し、同社は2018年〜2023年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を3.8%と予測する。
市場構成比が最も高いのはWindowsで、50%以上を占める。2018年の同市場は、前年に比べて9.5ポイント成長した。この要因は「Windows Server 2008/2008 R2」のサポート終了が2020年1月に予定されており、「Windows Server 2016」への移行案件が増加したこと。
IDCが2019年4月に実施した、Windows Server 2008を使用している企業を対象とした調査によると、移行中の企業が56.6%、既に移行を完了した企業が22.2%で、8割近くの企業がWindows Server 2016などのOSに移行を進めている状況だった。IDCはこうした移行需要は2019年も続くと見ており、2019年の同市場規模が対前年比8.8ポイント増になると予測する。2020年以降は移行案件が落ち着き、同社はWindows市場の2018年〜2023年のCAGRを3.6%と見込む。
IDC Japanでソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーを務める入谷光浩氏は「『Windows Server 2003』のサポート終了時は間際で移行の駆け込み案件が多く発生し、エンジニアリソースが不足するなど混乱が見られた。今回のWindows Server 2008のサポート終了では、余裕を持って計画的に移行する企業が多く、大きな混乱は生じないだろう」と分析している。
一方、Linux市場は、2018年の成長率は11.3%で、2017年(13.5%成長)に続く2桁成長と好調だった。Linuxは、基幹業務系システムからデジタルサービス向けシステムまで幅広い領域で採用されている。これが持続的な成長を支えている。
さらにIaaS(Infrastructure as a Service)でLinuxを使ったシステムの構築案件が増加しており、IaaS向けのLinuxディストリビューション売り上げが増加していることも、高成長の要因だ。IDCでは、この傾向は今後も続くと見ており、2019年も2桁成長を見込む。具体的には、2019年の成長率は10.2%、2018年〜2023年のCAGRは9.0%と予測する。
これに対してUNIXとメインフレームは、ハードウェアの出荷が減少傾向にあり、IDCではこれらに向けたサーバOSの売り上げは減少傾向が続くと見る。
今回発表された市場予測の稼働環境には、Windows、Linux、UNIX、メインフレーム、その他が含まれる。また、Linuxの売上額は商用ディストリビューションの売り上げで、無償のLinuxは含まない。
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