Linux Foundationは、「コンフィデンシャルコンピューティング」の定義と導入促進に取り組む「Confidential Computing Consortium」を創設する。機密データの保護には3段階あり、今回は中でも最も困難なメモリ内で処理中のデータ保護に取り組む。Alibaba、Arm、Baidu、Google、IBM、Intel、Microsoft、Red Hat、Swisscom、Tencentなどがコンソーシアムへの参加を表明した。
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Linux Foundationは2019年8月21日(米国時間)、「コンフィデンシャルコンピューティング」の定義と導入促進に取り組むプロジェクトコミュニティーとして「Confidential Computing Consortium」を創設すると発表した。
Alibaba、Arm、Baidu、Google、IBM、Intel、Microsoft、Red Hat、Swisscom、Tencentなどの企業が今回の取り組みへの参加を表明している。
今回、コンソーシアムを創設する背景について、Linux Foundationは次のように説明している。
「オンプレミスやパブリッククラウド、エッジといったさまざまな環境にわたって企業がワークロードを移動するようになった。機密を保たなければならない知的財産やワークロードデータを保護する対策に加え、そうした対策の信頼性、透明性の向上が必要となっている」
このような背景の中、Linux Foundationは現在のデータ保護の取り組みが不十分であると指摘している。
「クラウドコンピューティングにおける現在のアプローチでは、ストレージに『保存中』のデータやネットワークで『転送中』のデータについては保護対策が実現できている。だが、メモリ内で『処理中』のデータの暗号化はそうではない。この部分は機密データの完全な暗号化ライフサイクルにおける3つ目の、おそらく最も困難なステップだ」
このステップを実現するのがコンフィデンシャルコンピューティングなのだという。
「コンフィデンシャルコンピューティングは、暗号化されたデータがメモリ内で処理されている際に、システムの他の部分からは見えないようにするとともに、機密データ漏えいのリスクを軽減し、ユーザーにとっての保護対策と透明性を向上させることを可能にする」
Linux Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるジム・ゼムリン氏はコンソーシアムの役割について次のように述べている。
「Confidential Computing Consortiumは、コンピューティングにおけるセキュリティの今後を先取りする。使用中のデータのための信頼できるインフラをサポートするオープン技術の定義と開発に貢献する」
そのために、ハードウェアベンダーやクラウドプロバイダー、オープンソース専門家、学術研究者を結集して、コンフィデンシャルコンピューティング市場の拡大を加速し、技術と規制の標準化に影響を及ぼし、TEE(Trusted Execution Environment:信頼できる実行環境)開発に適した環境を提供するオープンソース技術を開発する。さらに、業界への啓蒙(けいもう)や教育を中心になって進める。
コンソーシアムの参加企業は、幾つかのオープンソースプロジェクトを通じて貢献する計画だ。
Confidential Computing Consortiumは、コンフィデンシャルコンピューティングをサポートするさまざまなオープンソースプロジェクトやオープン仕様をホストするという。活動資金は会員組織の会費でまかなわれる。
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