なぜCarbon Black買収なのか、セキュリティ市場に本格参入するVMwareの戦略VMworld 2019(2/2 ページ)

» 2019年09月04日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
前のページへ 1|2       

 「Intrinsic Securityは、ポジティブな意味で(セキュリティ)業界を覆すものとなる」(VMware COO、サンジェイ・プーネン氏)

 買収後のVMwareによるセキュリティ製品/サービスは、「Any Device, Any Apps, Any Clouds(あらゆるデバイス、あらゆるアプリケーション、あらゆるクラウド)」という同社の全体的なビジョンを反映する特徴を持つことになるという。

 つまり、データセンターとユーザーの双方をカバーし、ネットワークセキュリティとシステムセキュリティを統合する。データセンターではエッジを含めたオンプレミス/ハイブリッド/パブリッククラウドで、アプリケーション/コンテナ単位の保護を提供する。

 「インフラの境界を守るのではなくアプリケーションの境界を守るため、仮想マシンやコンテナがクラウド間を移動しても、同一のセキュリティポリシーに基づく保護を適用し続けられる。コンテナセキュリティをうたう製品は多数存在しているが、コンテナの認証に留まっているケースがほとんどだ。クラウド間の移動に対応できるような製品は存在しない」(VMwareソリューションズ&プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのマニーブ・ミンハズディン氏)

 なお、Carbon Blackは「脅威分析ユニット(TAU)」を持つ。TAUはCisco SystemsにおけるTalosと同様に、防御機能実行ポイントに対し、セキュリティインテリジェンスを統合的に提供する組織になるという。

VMwareは買収完了後、4つのセキュリティソリューションを提供すると説明した

 VMwareはVMworld 2019で、Carbon Black買収完了後のセキュリティソリューションとして、4つの例を説明した。

 第1に、vSphere上の仮想マシンおよびコンテナに関しては、これまでと同様、CB DefenseとAppDefenseとの連携で防御を実施する。

 第2に、ユーザー端末では統合端末管理/業務環境製品「VMware Workspace ONE」にCB Defenseのエージェントを統合する。

 第3に、VMware NSXで捕捉するネットワークトラフィックをセキュリティの観点で常時分析、仮想マシン/コンテナの防御のための文脈情報として生かす。

 第4に、VMwareはvSphereベースのインフラに加え、Amazon Web Services、Microsoft Azureを対象としてセキュリティとコンプライアンスの監視を行う「VMware Secure State」というサービスを持っている。これとCB Defenseを連携させ、パブリッククラウドにおけるセキュリティ防御を図る。

 さらにSecureWorks、IBMなどのパートナーによる製品やサービスとの連携で、さまざまなソリューションを展開していくという。

 VMwareは同社が今後提供する製品群により、ファイアウォールをはじめとした既存のセキュリティ製品が不要になるとは言っていない。だが、運用するセキュリティ製品の数を減らすことはできるとしている。

 VMwareのCEO、パット・ゲルシンガー氏は、「VMwareの社内では、4年前に108種類のセキュリティ製品を使っていた。Intrinsic Securityを導入したことで、4年後の現在、これを25種類に減らすことができた」と話した。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。