NTTドコモは、異なるベンダーの4G、5G基地局装置の間で相互接続に成功したと発表した。O-RAN Alliance仕様に準拠した基地局装置を用いた。5Gプレサービスで運用する。
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NTTドコモは2019年9月18日、5G通信規格の国際標準化団体「Open Radio Access Network Alliance(O-RAN Alliance)」の仕様に準拠した、異なるベンダーの4G、5G基地局装置の間で相互接続に成功したと発表した。同年9月20日に始める「5Gプレサービス」で運用する。
今回実施した相互接続試験では、富士通やNEC、Nokiaの基地局装置を用いた。概略は次の通り。
5G基地局の親局に、5G基地局の子局と4G基地局を接続した。5G基地局の親局には、電波で搬送する前のデータ信号を扱うベースバンド処理部が実装されている。子局は、親局と光ファイバーで接続する5Gリモート設置型基地局を採用した。実際に電波で搬送する信号を扱う無線部を備える。無線部の機能を親局から切り離すことで子局を小型化でき、ビルや山間部など場所を選ばずエリア化できるようになる。
親局と子局の間の接続には「O-RANフロントホール」仕様を用いた。O-RANフロントホールは、5Gのリモート設置型基地局に向けて任意のベンダーの親局と無線子局を相互接続するために規定されたインタフェースだ。一方、5G基地局親局と4G基地局の間の接続には「O-RAN X2プロファイル」仕様を用いた。これは、3GPP(Third Generation Partnership Project)が規定するインタフェース仕様に基づいて、任意のベンダーの4G基地局と5G基地局の相互接続向けにプロファイルを規定した仕様。4G基地局と5G基地局を相互接続することで、既存の4Gエリアの広さやつながりやすさを生かしつつ、5Gによる高速で低遅延なデータ通信を提供できる。
従来は基地局装置同士を接続するための仕様が標準化されておらず、ベンダーごとに仕様が異なっていた。そのため、異なるベンダーの基地局装置の間では通信がつながりにくくなるなどの問題があり、同じベンダーの基地局装置同士を接続していた。5Gサービスの導入初期では、既存の4Gネットワークを活用しながら5Gエリアを広げる。そのため従来のままでは、採用可能な5G基地局装置が、4G基地局装置のベンダーのものに制限されてしまう。
こうした課題を解決することを目的に、O-RAN Allianceは基地局装置間接続の国際標準仕様を策定した。同仕様に準拠した基地局装置間であれば、相互接続が可能になる。異なるベンダーの基地局を利用できることによって、例えば広い領域をカバーできる基地局や、通信が混み合う場所への設置に向く小型基地局など、エリア設計の用途に応じて最適な基地局装置を選択できるようになる。
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