Wi-SUN活用で「ネット環境が整わない地域」でもコンテンツ配信 NICTが開発電子回覧板や高齢者見守りにも効果

NICTのソーシャルICTシステム研究室は、Wi-SUNとWi-Fiを活用する無線ネットワークの構築技術を開発した。この技術を利用して、高齢者世帯を対象とした地域の見守りや、電子回覧板の配信の実証実験も始める。

» 2019年09月26日 08時00分 公開
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 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のソーシャルICTシステム研究室は2019年9月19日、「Wi-SUN」とWi-Fiを活用する無線ネットワークの構築技術を開発したと発表した。同ネットワーク構築技術を用いた地域見守りと電子回覧板の実証実験を、富山県黒部市在住の高齢者世帯を対象に、同年10月から3カ月間程度をめどに実施する。

 Wi-SUNは、Wi-SUNアライアンスが策定した、IoT(モノのインターネット)向けの国際無線標準規格。通信速度は100kbps程度で「マルチホップ通信」と呼ばれる中継ネットワークを構築して広域サービスエリアを構築できる。国内では免許不要で利用でき、スマートメーター向けに普及している。

 ソーシャルICTシステム研究室は、今回の無線ネットワーク構築技術に向けて、IoT無線ルーターを開発した。電池を内蔵せず、USBポートを介して、スマートフォンの充電に用いられる一般的なUSB電源アダプターなどから給電する。無線通信機能としては、Wi-SUNを基に開発した独自のすれ違い通信機能に加え、Wi-FiとBLE(Bluetooth Low Energy)4.0に対応する。OSにはLinuxを採用し、データの送受信通知やルーターに保存されているコンテンツを、外部からWi-Fi通信によって取得するためのWeb APIを備える。このIoT無線ルーターを宅内や地域の業務用車両に設置して、IoT無線ルーター同士が互いに電波の届く範囲に接近すると、情報を自動的に共有する。

画像 業務用車両による“ながら”見守りと電子回覧板実証のイメージ(出典:NICT

 10月に始める実証実験は、地域見守りと電子回覧板について検証する。

遅い通信速度でも写真や動画などのコンテンツ配信も可能に

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