Nutanixは「ポータブルクラウド/SaaSベンダー」へと(生物学的に)変態しようとしているNutanix CEOとCTOに聞いた(1/2 ページ)

NutanixはHCIベンダーからソフトウェアベンダーに変化してきたが、最近では次の「変態」とも言える動きを見せている。これを象徴するのがサブスクリプションモデルへの移行とNutanix on AWSなどの取り組みだ。CEOのディラージ・パンディ氏とプラットフォームCTOのラジブ・ミラニ氏に聞いた。

» 2019年09月30日 05時00分 公開
[三木泉@IT]

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 Nutanixの創業者で代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)のディラージ・パンディ氏に、「もし、Nutanixが持つ製品や機能を全て備えた、新たなスタートアップ企業として今デビューしたとしたら、自社をどう形容するか。『ポータブルクラウド/SaaSベンダー』だろうか?」と聞いてみた。

 パンディ氏は、「その表現は、我々がどういう存在になろうとしているかをとてもよく表していると思う」と答え、次のように続けた。

 「私たちのソフトウェアはプライベートクラウドでも、パブリッククラウドでも、さらにはエッジでも大きな役割を果たす。ポータビリティは当社にとって非常にパワフルなコンセプトだ。『私たちはクラウドをソフトウェアにした。これをアプリケーションと共にプラットフォームとして動かすことができるし、他のプラットフォーム上でアプリケーションとして動かすこともできる』と言えるからだ。

 また、私たちはディザスタリカバリや仮想デスクトップなどのサービスを提供しているが、これらは『SaaS』と呼べる。目的に即したクラウドサービスで、顧客がITインフラ全体を別のものに移し替えることを強いるわけではない。「あなたがプライベートクラウドで満足しているなら、これを前提としてディザスタリカバリーやマルチクラウドの仮想デスクトップを使ってみてはいかがですか」と言えるため、たちまちにして多くの市場で理にかなったものとして受け止めてもらえるようになっている。

 特に日本のように、ITに関して設備投資の考え方が浸透している市場では、消費モデルを変えるのに時間が掛かっている側面がある。それでも、周辺的なサービスから改革を始めることができる。米国以外の国々については特に、摩擦ができるだけ少ない形でクラウドを届けられるようにしなければならないと考えている。ディザスタリカバリーや仮想デスクトップ、セキュリティ、コスト管理、コンテナなどは、顧客が変革を円滑に進めるための手法として活用できる」

左より、Nutanix CEOのディラージ・パンディ氏、ニュータニックス・ジャパン社長の町田栄作氏、Nutanix クラウドプラットフォームCTOのラジブ・ミラニ氏

 Nutanixはこれまで、「エンタープライズクラウド」「ワンクリック」「インビジブル(目に見えない、意識しない)クラウド」などのキャッチフレーズを使ってきたが、これらの言葉では表わしきれない存在への「変態」を遂げようとしている。これを象徴するのがサブスクリプションモデルへの移行、そしてNutanix on AWSなど、同社が「Xi Clusters」と呼ぶ取り組みだ。

「サブスクリプションモデルが、ユーザーにとってのシンプルさにつながる」

 Nutanixは、ハードウェアとソフトウェアをパッケージ化したハイパーコンバージドインフラ(HCI:Hyper Converged Infrastructure)製品ベンダーとしてスタートし、その後ハードウェアを切り離して、純粋なソフトウェアベンダーへの道を歩んでいる。さらに同社が取り組んできたのは、サブスクリプションライセンスへの積極的な移行だ。

 サブスクリプションは、2019年第3四半期(2019年4月30日まで)の時点でライセンス売り上げの59%を占めており、2022年第2四半期(2022年1月30日まで)では75%以上に達する見通しだという。

 サブスクリプション型ビジネスモデル移行に注目すべき理由は、これによってユーザー側の利用スタイルが「購入」から「利用」へと変わるからだ。「エンタープライズクラウド」をうたってきたNutanixは、消費スタイルの点でもクラウドに近いといえるようになる。

 また、ユーザー組織は、自社の取得したソフトウェアサブスクリプションライセンスを、オンプレミスやエッジ、Xi Clustersの間で柔軟に割り振り、あるいは移行することができるという。

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