電通サイエンスジャムの「Brain Behavior Insight」は、家庭内での脳波を基にした調査を可能にするプラットフォーム。脳波計測器と専用タブレット、専用の調査アプリケーションを用いて、リラックスした状態で調査できる。
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電通サイエンスジャムは2019年10月10日、「Brain Behavior Insight」の提供を同年11月1日に開始すると発表した。Brain Behavior Insightは脳波を基にした調査を可能にするプラットフォーム。まずは、スマートフォンで動画を視聴した被験者に対するクリエイティブ調査やパッケージ調査、コンセプト調査、ABテストに活用する。
最近は生活者のライフスタイルや視聴行動が多様化し、嗜好や感情の変化が複雑化している。電通サイエンスジャムによると、そのような複雑化する行動を明らかにするために、脳波を基にしたニューロリサーチが注目されているという。ニューロリサーチは、脳波データを感性値に変換して対象物に対する感性を評価するため、バイアスがかかりにくいという特徴を持つ。
ただし、これまでのニューロリサーチは、調査の準備から分析までに1カ月以上の時間を要することがあったことに加え、機材の数や大きさ、脳波を取得する場所などに制限があった。そのため被験者にはストレスがかかり、実際の感情の変化が正しく取得できない恐れがあった。
電通サイエンスジャムはBrain Behavior Insightのサービスを開始するに当たって、脳波計測器と専用タブレット、専用の調査アプリケーションを開発して、こうした従来のニューロリサーチの欠点を払拭(ふっしょく)した。被験者には在宅中にリラックスした状態で動画を視聴してもらい、その間の脳波データを取得する。取得したデータは、専用サーバで解析する。こうして、実際の視聴形態に近い環境で脳波を取得できるようにするとともに、即座に取得データを分析できるようにした。
Brain Behavior Insightのニューロリサーチ用感性アルゴリズムは、電通サイエンスジャムの最高技術責任者を務める満倉靖恵氏が開発した。同アルゴリズムは、既に国内外で多くの実績があるという。さらに、視覚/聴覚評価に特化した動画評価用のアルゴリズムも新たに開発して実装した。
例えば、複数の動画の中から最も高い効果を期待できる動画を選ぶ際には、被験者に全ての動画を見せて、各動画について全被験者の感性平均値を取得する。各被験者の1秒ごとの感性値も得られるので、感性が大きく動いたのはどの動画のどこのシーンなのかも分かる。
今後は、家庭内でのさまざまな行動や製品の評価にまで活用を広げる。健康食品や健康機器、スマホアプリの評価に加え、定期的な脳波測定も予定する。サービス提供開始時の対象地域は関東のみだが、地方での実施や、より大規模なサンプル数への展開も検討する。
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