OpenTitanは、最近始まったプロジェクトではない。約2年前にスタートし、これまで35以上のコントリビューターによる1300以上のコントリビューションを受けている。その半数以上が、Google以外の組織や個人によるものだという。現時点で、Google、lowRISC、チューリッヒ工科大学の他、G+D Mobile Security(ドイツの組み込みセキュリティ企業)、Nuvoton Technology(TPMやBMCを開発・製造する台湾の半導体メーカー)、Western Digital(米国のストレージ企業で、RISC-Vに関するノウハウを有する)の支援を受けているという。
今回の発表で、OpenTitanの開発リポジトリが公開された。言い換えれば、これまでは開発内容がオープンになっていなかった。
これまでクローズドな形で開発を進めてきた理由について、lowRISCの共同創設者でボードメンバーでもあるギャビン・フェリス(Gavin Ferris)氏は、オープンなシリコン開発のためのフレームワークやガバナンス、コントリビューションの基準を確立し、法的な処理を済ませる必要があったからだと説明した。
「コントリビューションの基準」とは、外部からのコントリビューションを受け入れる際に、品質を担保するための手続きのこと。「私たちはプロジェクト全体の品質確保に最大限の努力を払っている。このため、コントリビューションの受け入れ可否を決める際の明確な基準を確立する必要があった」
OpenTitanの今後はどうなるのか。同プロジェクトはまだ開発が半ばで、全ての構成要素が出そろっているわけではない。そこで、新たな参加者に幅広く加わってもらい、一緒に作り上げていきたいという。そして、全ての構成要素についての開発が終了した時点で、リファレンス実装に移りたいという。
「では、Googleは今後、既存のTitanからOpenTitanベースのチップへと移行することになるのか」と聞いてみた。リゾ氏は次のように答えた。
「将来の見通しに関する発言は差し控えたい。私たちはまだ、そうしたロードマップに関する判断をしていないからだ。OpenTitanは、長期的に業界がどのような方向に向かってくかに焦点を当てている。一方Titanは、今ここにある問題を解決している」
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