ネット銀行ではなくデジタルバンクであり、完全なスタートアップ――。ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)が2021年春の設立を目指すモバイル専業銀行、「みんなの銀行」について、設立準備会社のIT責任者である宮本昌明氏が説明した。
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ネット銀行ではなくデジタルバンクであり、完全なスタートアップ――。ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)が2021年春の設立を目指すモバイル専業銀行、「みんなの銀行」について、設立準備会社のIT責任者である宮本昌明氏が説明した。
宮本氏は、みんなの銀行設立準備会社でIT統括部長を務めている。また、同行のIT開発・運用を担当するゼロバンク・デザインファクトリーでは、「サービスデザインファクトリー マネージングディレクター」として、サービス設計から組織作りまでを指揮している。同氏は、2020年1月30日に開催された「Google Cloud Anthos Day」で、みんなの銀行は単なるネット銀行ではなく、デジタルネイティブな世代をターゲットとした全く新しい金融サービスだと説明した。
「『デジタルネイティブ世代』『ミレニアル世代』『Z世代』などと呼ばれる若い人たちは、ものの考え方がそれ以前の世代とは全く異なる。そういった人たちにとっての銀行の価値を追求するところからスタートしている」(宮本氏、以下同)
大手を含め、さまざまな銀行がイノベーション担当部署を設置し、こうした部署を通じて新たな銀行像を模索している。だがほとんどの場合、既存の考え方に基づく巨大なシステムや組織とのすり合わせを進める時点で、大きな壁にぶつかることになる。
一方、みんなの銀行はFFGの傘下ではあるものの、完全に独立した新たな金融機関として免許を取得する。過去のしがらみとは無関係に、新たな技術を活用し、新たな顧客層に向けて「銀行をゼロから再定義できる」。
新銀行はモバイル専業だが、モバイル端末での使い勝手の良さやユーザーエクスペリエンスは、前提条件でしかないという。
「デジタルネイティブ世代は、自身の位置情報をオープンにすることに心の障壁がない。また、SNSで自身をさらけ出すことに抵抗感がない。発信する声をどんどん取り入れて、パーソナライズした上で一番良いタイミングで提供し続けていく。そうすることで、みんなの銀行を“使うこと自体がオシャレ”で、“使っている自分に満足できる”と思われる存在になりたい」
また、「銀行」を前面に押し出すのではなく、サービスがユーザーの生活に自然な形で溶け込むようにしたいという。
「お金に関する不安や面倒を減らし、時間を人生における楽しみに振り向けてもらえるようにしたい」
また、他のサービス企業に対しては、金融機能をAPI経由のサービスとして提供する「Banking as a Service」としての役割も果たしていきたいという。
では、こうした新たなコンセプトの金融サービスを、どのようなIT開発体制で進めていくか。
ゼロバンク・デザインファクトリーでは、開発を基本的に内製で行う方針。多数の開発プロジェクトを並行して走らせられる体制を構築中で、人材確保に力を入れているという。そして多数のプロジェクトそれぞれが、短期間でサービスをリリースできるような仕組みを整えている。
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