国土交通省は新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワーク実施実態調査を含む「テレワーク人口実態調査」など3つの調査結果を発表した。2019年10月の調査と2020年3月の調査を比較すると、テレワークの認知度が急上昇している。
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国土交通省は2020年3月31日、2019年度の「テレワーク人口実態調査」など計3つの調査結果を発表した。
今回発表したのは、テレワークの普及促進策に役立てることを目的として実施した「テレワーク人口実態調査」と、災害時や感染症拡大防止などの緊急時における対策としてテレワークの実態の把握を目的として実施した「台風15号通過日の首都圏の通勤行動の調査」「新型コロナウイルス感染症対策におけるテレワーク実施実態調査」の3点だ。
「テレワーク人口実態調査」は2002年から実施している。本調査は、2019年10月に就業者4万人を対象に行われた。
「『テレワーク』という働き方を知っているか」という質問では、32.7%の人が「知っていた」と回答した。これまでの調査と比較すると、17年は24.8%、18年は29.9%と、テレワークの認知度は年々上昇傾向にあることが分かった。
企業などに勤務する人に対し、勤務先に「テレワーク制度などが導入されている」と回答した人の割合は19.6%で、そのうち、実際にテレワークを実施したと回答した人の割合は、49.9%だった。
「新型コロナウイルス感染症対策におけるテレワーク実施実態調査」は、2020年3月9〜10日に、企業に雇用されている就業者4532人を対象として実施した。
「感染症対策としての政府による『テレワーク』活用の呼び掛けを認知しているか」という質問に対し、「認知している」と回答した人は、90.0%だった。このうち勤務先にテレワーク制度などのある人(下図中名称は『雇用型制度等ありテレワーカー』)は、98.6%が「認知している」と回答した。先述した「テレワーク人口実態調査」での「『テレワーク』という働き方を知っているか」との質問とは形式や対象者が異なるものの、2019年10月から2020年3月の間で、テレワークの認知度が急上昇したと推察できる。
勤務先にテレワーク制度などがある人のうち、調査日(3月9〜10日)から直近1カ月の期間中に感染症対策の一環としてテレワークを実施した人(下図中名称は『雇用型制度等ありテレワーカー』)は52.0%だった。一方、勤務先にテレワーク制度などがないがテレワークを実施している人(下図中名称は『雇用型制度等なしテレワーカー』)は実施率が14.8%にとどまっている。感染症対策の一環としてテレワークを初めて実施した人は、全体で5.2%が該当した。
感染症対策の一環としてテレワークを実施した人で、何らかの問題があったと回答した人の割合は72.2%だった。
内訳をみると、「はじめて実施」した人や、「もともと実施したことはあったが、あらためて実施」した人では、「何らかの問題があった」との回答が約8割を占め、「もともと実施してきており、通常通り実施した人」の4割強と比べて高かった。
テレワークを実施する上での問題点を尋ねる質問では、一番多かった回答が「会社でないと閲覧、参照できない資料やデータなどがあった」で26.8%だった。次点で「同僚や上司などとの連絡、意思疎通に苦労した」が9.7%、「営業、取引先などとの連絡、意思疎通に苦労した」が9.2%だった。
国土交通省は「緊急時においても経済活動を停滞させないための対策として、テレワークを実施する場合『平時からの準備(テレワークに関する社内規定などの制度整備やペーパーレス化、クラウド化など仕事に必要な資料へのアクセス手段の確保など)』と『日頃からのテレワーク実施』が重要であると、あらためて確認できた」としている。
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