Microsoftは新たにリリースした「Windows 10 Insider Preview Build 20150」において、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)に3つの改良を加えた。
Microsoftは2020年6月17日(米国時間)、新たにリリースした「Windows 10 Insider Preview Build 20150」において、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)に3つの改良を加えたことを明らかにした。
同社によると、このプレビュービルドのWSLでは、LinuxバイナリがGPUを利用できるGPUコンピューティング機能がサポートされ、機械学習/AI開発やデータサイエンスのワークフローを直接実行できるようになった。また、「wsl --install」コマンドの追加により、シングルコマンドでWSLをインストールできるようになった。さらに、「wsl --update」コマンドも追加され、WSL 2ディストリビューションで使われるLinuxカーネルのバージョンを簡単に管理することも可能になった。
この3つの改良の概要は以下の通り。
GPUコンピューティングのサポートは、WSLに関する最も要望の高い機能だった。GPUコンピューティングサポートには、NVIDIAの「CUDA」のサポートと、Microsoftの低レベルAPI「DirectML」のサポートが含まれる。
Microsoftは「CUDAサポートは、データサイエンティストがローカルWindowsマシンを使って、インナーループの(ローカルマシン単独での)開発と実験を行うのに役立つ。またDirectMLのサポートにより、学生や初心者は、AMD、Intel、NVIDIA GPUベースの幅広いWindowsハードウェアで、ハードウェアアクセラレーテッドトレーニングを利用できる」としている。
こうした機能を試すには、Windows 10 Insider Preview Build 20150をインストールしてWSL 2ディストリビューションをインストールし、Linuxカーネルが最新であることを確認して適切なGPUドライバをインストールする必要がある。
WSLのインストールを容易にするために新たに追加されたコマンドラインオプションである「wsl.exe --install」は、WSLを有効にしていないマシンでのみ表示される。Windows 10 Insider Preview Build 20150では、このコマンドを実行すると、WSLと仮想マシンプラットフォームが有効になり、ユーザーはマシンの再起動を求められる。
Microsoftは将来的に、このコマンドでWSLディストリビューションも自動的にインストールできるようにする計画だ。またWindows 10 Insider Preview Build 20150では、WSLを初めてインストールしたときのデフォルトディストリビューションタイプが、WSL 2ディストリビューションとなっている。
WSL 2ディストリビューションで使用されるLinuxカーネルが、Microsoft Updateで提供されるようになった。これは、ほとんどのWSLユーザーにとって、Linuxカーネルが自動的に最新に保たれ、それらのアップデートをWindows設定の「Windows Update」ページで表示できるということだ。
またMicrosoftは、次のように、WSL内のLinuxカーネルのバージョンをきめ細かく制御するためのコマンドラインオプションも用意した。
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