ポストコロナのIT業界とエンジニアの生き残り術を模索する特集「ポストコロナのIT業界サバイバル術」。第3弾は、リモートワークの未来です。
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2020年6月のある日、大手オフィス機器メーカーで働く井戸聞多さんは、長野県の佐久市を移動中だった。
井戸さんは2019年の夏ごろから、長野県志賀高原に住みながら横浜の勤務地に週1回出勤するデュアルライフをスタートした。
2020年の1月からは「移動自体がリスクになる」と考え、会社と協議の上フルリモートに切り替え、「横浜の事業所に所属しながら自分の好きなエリアで暮らす」という勤務スタイルを確立した。
東京を離れてからは、マウンテンバイクで移動中にメンバーと打ち合わせをしたり、地元の仲間たちと作ったコワーキングスペースで作業に打ち込んだり、キャンピングカーでコワーキングスペースを回って仲間たちと新しい事業アイデアを考えたり、東京で暮らしていたころとは全く違う日常を過ごしている。
2020年春、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止を目的としたリモートワークを多くの企業が取り入れた。「出社をしない生活」に慣れた今、東京での暮らしに疑問を持つビジネスパーソンが増えているという。
2020年5月に内閣官房が東京圏在住の1万人を対象に実施したアンケートによると、「地方での暮らしに関心を持つ人」が半数との結果が出た。若い層ほど関心度合いが高く、地方移住を具体的に計画している「計画層」の平均年齢は35.7歳だった。
日本政府は2014年から「地方創生」を打ち出してきた。全国の自治体が都内で移住イベントを開催し、若者たちの関心も徐々に高まってきていた。「シビレ」も2016年のサービス開始以来、地方に関心のあるエンジニアを対象に、移住を伴う転職支援を行ってきた。
しかし当時は、「地方で暮らす」ことを「都落ち」と捉える人が大多数で、「興味はあるが現実味に欠ける」「妻の反対に遭い、移住はかなわなかった」というケースが多くあった。
これまでは、地方に移住するには、移住先から通勤可能なエリアでやりたい仕事を見つけ、どこに住むかを考え、家族がいる場合は全員が納得するよう説得……と、膨大なフローがあった。
しかし、リモートワークが一般化してきた昨今、企業が体制を変えるケースも出てきている。
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