一方、VMwareは開発者たちにも話しかけなければならない。VMworldでは多数の開発者向けセッションを持った。2週間前には「Spring One」を開催し、約2万の開発者が参加した。私たちはこれまでのITチームと開発チームの双方に話しかけ、この2つの間のギャップを解消できると信じている。
COOのラグー・ラグラム氏にも同様な質問をしてみた。同氏はVMwareが単なるKubernetesを提供するだけで満足しているわけではないと強調した。
――Tanzuの提供が始まる今、VMwareにとってKubernetesはどのような意味を持つのかをあらためて聞きたい。
Kubernetesはとても重要だが、これを担当する部門(「モダンアプリケーションプラットフォーム事業部門」)にはさらに大きな目的がある。企業におけるソフトウェアアプリケーションの変革を支援することだ。
これには2つの道筋がある。まずはアプリケーションの構築だ。
次に、これをクラウドに対して中立的な、モダンアプリケーション向きのインフラで稼働することだ。こうした意味で、Kubernetesはあらゆるアプリケーションが構築されるようになる、今後不可欠なファブリックだと考えている。これがKubernetesをやる目的だ。インフラ企業としてやってきたVMwareにとって、自然な成り行きだと言える。
そして、どんなインフラでもそうだが、それ自体だけでは使えない。管理、セキュリティ、ネットワークなどでこれを囲んでこそ、完結できる。つまり、Kubernetesは当社にとって、アプリケーションを稼働するファブリックというだけではない。アプリケーションを動かすためのあらゆるものを結び付けるファブリックでもある。
――1、2年前、あなたにインフラ/運用担当者だけでなく、開発者にアプローチする必要性について聞いた。現時点で、開発者へのアプローチに、どれくらい成功したと考えているか。
開発チームはさまざまだ。当社が関心を持ち、支援したいと考えているのはエンタープライズ開発者だ。そしてエンタープライズ開発者は。ほとんどの場合Javaあるいは.NETの開発者だといえる。Java開発者にとって、Springは重要なフレームワークだ。さらに、Spring Bootのような新技術が登場し、Java開発者がモダンなアプリケーションを構築しやすくなっている。これによってSpringのコミュニティーは急速な拡大を続け、ますます重要な存在になっている。
Pivotal買収によって得た大きな財産の1つに、Springのフレームワークとコミュニティーがあった。Springを通じて、私たちはエンタープライズ開発者とのつながりを深めていくことができる。
一方、「DevOps開発者」とも呼べる人たちがいる。DevとOpsを結び付ける中心にあるのはKubernetesコミュニティーだ。コードとしてのインフラを推進している。
私たちは、これら2種類のエンタープライズ開発者コミュニティと密接につながり合いたいと考えている。Springにおけるリーダーシップおよび、Kubernetesコミュニティーとの関わりを通じ、開発者たちと連携していきたい。
VMwareは、今回、Tanzuに関連してGitLabとの提携を発表した。GitLabがCI/CDで包括的な機能を提供している点に着目したとラグラム氏は話した。一方で他の関連ベンダーとの連携も進める。また、一般企業におけるコンテナ基盤の重要な用途の1つに機械学習/AIがあり、この点でNVIDIAとの提携は非常に大きな意味を持つと強調した。
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