東芝と高輝度光科学研究センター、東北大学はHDD装置用書き込みヘッドの磁化の挙動を新たに開発した解析技術によって100億分の1秒の精度で画像化することに世界で初めて成功した。3者はこれによって次世代のHDD書き込みヘッド開発が加速するとしている。
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東芝と高輝度光科学研究センター(JASRI)、東北大学の3者は2020年11月26日、HDD装置用書き込みヘッドの磁化挙動を、新たに開発した解析技術によって100億分の1秒の精度で画像化することに世界で初めて成功したと発表した。
3者は解析技術を開発した背景を次のように述べる。
「世界中でやりとりされているデータは1ゼタバイトに達するとみられており、HDDの容量増加とデータ転送速度の向上は急務だ。そのためにはHDD書き込みヘッドの動作を正確に把握し、合理的な設計が必要となる。だが、これまで磁化挙動シミュレーションによる解析や、磁気記録媒体に書き込んだ際の特性を用いた間接的な解析によって推測する手段しかなかった」
今回開発した解析技術は大型放射光施設SPring-8で生成するX線パルスと「走査型X線磁気円二色性顕微鏡」を用いて、磁化の時間変化を画像化する。HDD書き込みヘッドは100ナノ(メートル)以下の微細な構造を持ち、1ナノ秒以内で磁化反転するが、この様子を捉え、磁化反転に伴ってシールド部分に生じる磁化の空間的パターンも観察できたという。
3者によると「この解析技術によってHDD書き込みヘッドの動作を高精度で解析できる。次世代のHDD書き込みヘッドの開発は加速し、HDDのさらなる大容量化を実現できるだろう」としている。
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