Rust Survey Teamはプログラミング言語「Rust」の利用状況に関する年次調査結果を発表した。Rustの安定性に対する評価が高い一方で、C++との相互運用性の向上や学習のしやすさを改善してほしいという回答が多かった。
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Rust Survey Teamは2020年12月16日(米国時間)、プログラミング言語「Rust」の利用状況に関する年次調査の最新版「Rust Survey 2020」を発表した。
2020年9月後半に調査されたもので、8323人が回答した。回答者の83.0%がRustユーザーで、7%はRustを利用したことはあるが、現在は使っていない。
調査によれば、回答者はRustの全体的な安定性が向上していると認識している。回答者の4分の3近くは、IDE(統合開発環境)が改善したと答えており、特にRustプラグインのユーザーは、満足度が高かった。「rust-analyzer」のユーザーの47%が「大幅な改善」があったと回答し、40%が特に満足していた。「IntelliJ」のユーザーも同じ傾向だ。
ナイトリービルド版のユーザーは前回の30.5%から28%に減少した。ナイトリー版を使っている理由について、「ナイトリー版でも十分安定しているから」と答えている比率がかなり高かった。
Rustは本番環境向けの言語として利用が進んでいる。仕事でソフトウェアに携わっている回答者の約40%が、日常業務でRustを使っていると答えている。さらに、Rustを使った経験がある回答者の半数近くが、勤務先が2021年にRust開発者を採用する計画だと答えている。
回答者の職場におけるRustの利用規模は拡大しているもようだ。「職場内のRustプロジェクトのコード行数を合計すると、どれだけの規模になるか」という質問に対し、回答者の44%が、「1万〜10万行」または「10万行以上」と答えている。この割合は、2019年調査の34%から上昇している。
Rustの利用は順調に拡大しているようだ。だが、調査結果によれば、ワークフローに対してより適したツールにRustを変えていくためには、まだやるべきことが複数あることが分かった。例えばC++との相互運用性の改善やより学習しやすくすること、コンパイル時間の短縮、ライブラリサポートの拡大などだ。
Rustとの相互運用性が最も望まれている言語はC++で、C、Pythonがこれに続いた。C++との相互運用性向上は、Rustの業務利用を拡大する方法だと捉えられている。
Rustの導入を拡大する方法を問う質問に対し、多くの回答者が、Rustを学習しやすくすることを挙げた。回答者の15.8%は、Rustの「ハードルが下がるか、学習が容易になるか、複雑さが軽減されるかすれば」、Rustの利用を拡大すると答えた。また、どうすればRustの普及を拡大できると思うかを質問したところ、ドキュメントやトレーニングの充実を挙げる回答が最も多かった。
Rustを使いこなす力を自己評価してもらったところ、10段階評価(10点が最高)の「7点」とした回答者が最も多かった。この結果を他言語と比べるのは難しいが、「10点」とした回答者が極めて少ないことは注目に値する。
調査結果によると、最も学習が難しいトピックは、ライフタイム管理(61.4%)だった。
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