Microsoft、「Visual Studio 2019 v16.10」で提供予定の最新Git機能を紹介Git管理の生産性が向上

Microsoftは統合開発環境の次期リリース「Visual Studio 2019 バージョン16.10」で提供する最新のGit機能を公式ブログで紹介した。

» 2021年04月20日 18時30分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Microsoftは2021年4月15日(米国時間)、統合開発環境の次期リリース「Visual Studio 2019 バージョン16.10」で提供する最新のGit機能を公式ブログで紹介した。

 同リリースの最新プレビュー版「Visual Studio 2019 16.10 Preview 2」を使って機能を紹介した。同プレビュー版はメインで使用しているVisual Studioリリースと共存させることができ、本番用の環境にも影響がない。

 Microsoftは「Visual Studio 2019 バージョン16.8」でGitを本格的にサポートし、これに続く「バージョン16.9」ではフィードバックへの対応と問題修正を進めた。Visual Studio 2019 16.10では、検索性やリポジトリの切り替え、ナビゲーションなどに関する要望に応えた新しいGit機能を提供するとしている。

 最新Git機能の概要は次の通り。

ステータスバーからGitコマンドにアクセスできる

 ステータスバーの右端のセクション(IDEウィンドウの右下隅)に用意されたトレイから、常にGitコマンドにアクセスできるようになった。この機能はさらに拡充される予定だ。

ブランチピッカーの表示を変更

 ブランチピッカーの表示が[Git変更]ウィンドウのブランチドロップダウンと似た外観に変わった。ローカルブランチとリモートブランチを検索し、コンテキストメニューから一般的なブランチアクションを実行できる。

ステータスバーのブランチピッカーの表示(出典:Microsoft

リポジトリピッカーの表示を改善

 ローカルGitリポジトリを一覧表示したり、検索して切り替えたりできる。このリストから表示したくないアイテムを削除できるようにする予定だ。

ステータスバーのリポジトリピッカーの表示(出典:Microsoft

リポジトリをオープンしやすい

 バージョン管理されたフォルダまたはソリューションをVisual Studioで初めて開くと、関連付けられたGitリポジトリがローカルリポジトリリストに表示される。

 リモートリポジトリが「Azure DevOps」でホストされている場合、Azure DevOpsプロジェクトに接続するためのプロンプトが、[Git変更]ウィンドウに表示される。接続後はプロジェクトの作業項目とビルドにアクセスできる。接続が確立されたプロジェクトは、Visual Studioがそれを記憶しており、ユーザーが次にそのリポジトリを開くと、自動的に接続するようになる。

Azure DevOpsプロジェクトへの接続を確立するための情報バーの表示(出典:Microsoft

ソリューションリストを表示できる

 リポジトリを開くと、Visual Studioは既定動作として、関連付けられたソリューション/フォルダを「ソリューションエクスプローラー」で読み込む。リポジトリに複数のソリューションがあった場合は、ソリューションエクスプローラーにはソリューションのリストが表示される。

ソリューションエクスプローラーに表示されたリポジトリに含まれるソリューションのリスト(出典:Microsoft

リポジトリの動作をカスタマイズできる

 [Git]−[設定]で開く[オプション]に2つの新しいオプションが追加された。まず、別のリポジトリに切り替えたときでも、現在のソリューションを開いたままにできるようになった。

リポジトリを切り替えるときに、Git下にない開いているソリューションを閉じるかどうかを選択できるオプション(出典:Microsoft

 次に、もう1つの新しいオプションを設定することで、リポジトリを開くときに、ソリューションエクスプローラーでリポジトリのルートフォルダを読み込まないようにすることが可能になった。これはコーディングを始める前にVisual StudioをGitツールとして使いたいという開発者向けのオプションだ。

リポジトリを開くときに、フォルダを読み込むかどうかを選択できるオプション(出典:Microsoft

保留中の変更を表示

 ステータスバーの[変更]ボタンは変更されたが、まだコミットされていないファイルの数を表示する。このボタンをクリックすると、[Git変更]ウィンドウが表示される。

[Git変更]ウィンドウを表示するボタン(出典:Microsoft

コミットの同期

 ステータスバーの送信/受信ドロップダウンボタンには、リモートにプッシュされていないコミットの数を表示するようになった。このボタンをクリックすると、フェッチやプル、プッシュ、同期といったコマンドのリストがポップアップ表示される。

 なお、このボタンは間もなく、プルされていないコミットの数も表示するように変更される予定だ。

同期機能にもアクセスできる送信/受信コミットドロップダウン(出典:Microsoft

 同期コマンドは、プルしてからプッシュする。ワンクリックでローカルブランチとリモートを同期できる。このコマンドは[Git]メニューから、またキーボードショートカット([Alt]+[G]+[S]キー)で実行できる。

[Git]メニューの[同期]コマンド(出典:Microsoft

受信/送信コミットのリストを表示

 [Gitリポジトリ]ウィンドウに加わった機能や変更の概要は以下の通りだ。

 まず[Gitリポジトリ]ウィンドウの履歴ペインの最上部にある[受信]セクションと[送信]セクションには、それぞれ受信(入力方向の)コミットと送信(出力方向の)コミットのリストが表示される。これらのセクションは、ステータスバーの送信/受信コミットドロップダウンの[送信と受信の表示]から、または[Ctrl]+[0]+[Y]キーでアクセスできる。

 これらのセクションを見ることで、まだプッシュしていない、またはプルしていないコミットを全て把握できる。[フェッチ]を選択すると、[受信]セクションに表示される。ローカルコミットを行うと、[送信]セクションに表示される。

[Gitリポジトリ]ウィンドウの[受信]/[送信]セクションにある[fetch][pull][push]ボタン(出典:Microsoft

コミットの変更を確認しやすい

 [Gitリポジトリ]ウィンドウでは、履歴ペインでコミットを選択し、コンテキストメニューから「コミットの詳細を表示」を選ぶと、履歴ペインの下部に詳細ペインが表示されて、ファイルの変更点をビジュアルに確認できる。

 あるコミットと直前のコミットを選択し、コンテキストメニューから「コミットの比較」を選んでも、変更点が分かる。

[Gitリポジトリ]ウィンドウの詳細ペインで、選択したコミットのファイルの差分をインラインモードで表示(出典:Microsoft

 選択したコミットのファイルの変更点は、インラインモードだけでなく、変更前と変更後を横に並べて表示することもできる。なお、詳細ペインの左上のマイナスとプラスの数字は、選択したコミットのファイルについて、それぞれ削除数と挿入数を示している。

[Gitリポジトリ]ウィンドウの詳細ペインで、選択したコミットのファイルの変更前と変更後を横に並べて表示(出典:Microsoft

[Git変更]ウィンドウ

 [Git変更]ウィンドウのステータスセクションにあった幾つかのボタンの位置を変更した。ウィンドウ右上隅のアクションメニューに集約されている。

[Git変更]ウィンドウのアクションメニュー(出典:Microsoft

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。