Gitリポジトリサービス「AWS CodeCommit」を使ったバージョン管理の基本――リポジトリの作成から利用開始までAWSチートシート

AWS活用における便利な小技を簡潔に紹介する連載「AWSチートシート」。今回は、「AWS CodeCommit」でリポジトリを作成してからファイルをプッシュするまでの流れを紹介する。

» 2021年08月26日 05時00分 公開
[天野盛介東京ITスクール]

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 「Amazon Web Services」(AWS)活用における便利な小技を簡潔に紹介する連載「AWSチートシート」。今回は「AWS CodeCommit」の基本的な利用の仕方として、最初に行うリポジトリの作成からファイルをプッシュするまでの流れを紹介します。

 アプリケーションを開発するに当たって、最初の検討ポイントの一つが「ソースコードのバージョンをどうやって管理するか」です。こういった場面でまず思い浮かぶのが「GitHub」「GitLab」といったGitリポジトリサービスだと思いますが、既にAWSを利用して開発しているならCodeCommitも選択肢の一つとなります。

「AWS CodeCommit」とは?

 CodeCommitは、AWSが提供するバージョン管理サービスです。文書やファイル、ソースコードなどのデータをAWSに保存できます。Gitベースのリポジトリをプライベートなマネージドサービスとして提供しているので、既存のGitリポジトリともシームレスに連携可能で、自分でサーバを管理する必要もありません。

 「AWS CodeBuild」「AWS CodeDeploy」といった他のサービスと併せて利用することでアプリケーションのリリースを自動化できるのも特徴です。

CodeCommitを利用したリポジトリの作成手順

図1 CodeCommitリポジトリの利用イメージ

 CodeCommitを利用してリポジトリを作成、利用する方法を紹介します。今回は下記手順に沿って確認します。

  1. CodeCommitリポジトリの作成
  2. 「AWS Identity and Access Management」(IAM)ユーザーを作成してHTTPS認証情報を取得
  3. リポジトリをローカルにクローン
  4. ローカルリポジトリで作成したファイルをプッシュ

※Gitと「AWS Command Line Interface」(CLI)が手元のPCにインストールされている前提で説明します。

手順1.CodeCommitリポジトリの作成

 マネジメントコンソールからCodeCommitのダッシュボードに移動して、「リポジトリの作成」をクリックします。作成時の設定は、最低限「リポジトリ名」を指定するだけです。

図2 CodeCommitリポジトリの作成

手順2.IAMユーザーを作成してHTTPS認証情報を取得

 HTTPS経由でGit認証情報を使えるよう設定するために、IAMユーザーを作成します。IAMユーザーは「プログラムによるアクセス」を有効にし、「AWSCodeCommitPowerUser」のポリシーをアタッチして作ります。

 ユーザー作成後は、作成したユーザーの概要ページから「認証情報」タブを選択して、画面を下にスクロールします。

図3 IAMユーザーの「認証情報」タブを確認

 「AWS CodeCommitのHTTPS Git認証情報」という項目があるので「認証情報を生成」をクリックします。

図4 「AWS CodeCommitのHTTPS Git認証情報」

 リポジトリのクローンに必要なGitの認証情報を取得できます。

図5 取得したGitの認証情報

手順3.リポジトリをローカルにクローン

 手順1で作成したリポジトリをローカルにクローンします。

 まずはコマンドプロンプトからAWS CLIを利用して手順2で作成したIAMユーザーのアクセスキーとシークレットアクセスキーを指定します。

C:\Users\User1>aws configure
AWS Access Key ID [****************BCFD]:
AWS Secret Access Key [****************5PVb]:
Default region name [ap-northeast-1]:
Default output format [json]:

 続いて、クローンに利用するリポジトリのURLを取得するために、マネジメントコンソールで作成したリポジトリのページから「URLのクローン」→「HTTPSのクローン」をクリックします。

図6 「URLのクローン」→「HTTPSのクローン」をクリック

 こちらから取得したURLを利用して任意のディレクトリで「git clone」コマンドを実行しましょう。

git clone https://git-codecommit.ap-northeast-1.amazonaws.com/v1/repos/SampleRepository

 Gitの認証情報を求められるので、手順2で確認した「AWS CodeCommitのHTTPS Git認証情報」を入力するとローカルリポジトリのクローンが完了します。

図7 Gitの認証情報を求められる

手順4.ローカルリポジトリで作成したファイルをプッシュ

 ここまでは、リポジトリを作成してローカルにクローンしただけの状態です。下記コマンドでサンプルファイルを作成してプッシュします。

cd SampleRepository
作成したリポジトリの名前を指定して移動
echo "This is a sample file." > sample.txt
サンプルファイルを作成
git add sample.txt
git commit -m "my first document"
git push origin master
Gitにプッシュ

 マネジメントコンソールで作成したリポジトリの画面を更新すると、プッシュされたファイルを確認できます。

図8 マネジメントコンソールでプッシュされたファイルを確認できる

終わりに

 今回はCodeCommitを利用する際の基本的な手順を紹介しました。

 CodeCommitはAWSを利用してアプリケーションを開発する場合に欠かせないサービスの一つといえます。まだ使ったことのない方は試してみてはいかがでしょうか。

筆者紹介

天野盛介(あまのせいすけ)

株式会社システムシェアード

マルチクラウドへの閉域接続サービスのサービスマネジメント業務に従事した後、AWS案件での基盤構築支援などを担当。社内では、検証・学習用にAWSを完全定額で利用できるサービス「安心サンドボックス」の立ち上げや東京ITスクールのAWS研修におけるコンテンツ開発、Java・AWS研修の講師などを歴任。


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