ノークリサーチは、中堅中小企業を対象に実施した、ゼロトラストやネットワーク環境構築に関する調査の結果を発表した。ゼロトラストセキュリティが中堅中小企業で注目されており、ノークリサーチは「ZTNAが社内外を結ぶネットワーク課題の解決策になる可能性がある」と分析している。
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ノークリサーチは2021年9月6日、ゼロトラストやネットワーク環境構築に関する調査の結果を発表した。それによると、中堅中小企業ではゼロトラストセキュリティが重視されており、その考えに基づいた「ZTNA」(Zero Trust Network Access)が注目されていることが分かった。同調査は年商500億円未満の中堅中小企業を対象に実施し、700社から有効回答を得た。
5G(第5世代移動通信システム)やネットワーク関連サービスの活用方針を尋ねたところ、「ネットワークの管理/運用を全社で統一していく」と回答した割合よりも、「社内ネットワークも安全ではないという前提に立つ」と回答した割合の方が高い傾向にあった。
ノークリサーチは「中堅中小企業ではITの管理/運用を担う人材が限られているため、全社のネットワーク管理を統一できていない企業が多かった。そのため従来は、ネットワークの統一管理が求められていた。だが最近では全社で管理を統一するよりも『社内も安全ではない』と考え、対策が必要だという認識が広がっている」と分析している。
こうした背景もあり、“全てを信用しない”という「ゼロトラストセキュリティ」が注目されているとノークリサーチはいう。
「社内外を結ぶネットワーク環境の構築が十分でなかった中堅中小企業にとって、ゼロトラストセキュリティは今後のネットワーク環境を大きく変える考え方だ。アカウント単位でアプリケーションを制御するZTNAといったサービスも登場しており、導入を検討する企業もある」(ノークリサーチ)
ZTNAはさまざまで、狭義と広義の定義もある。ノークリサーチは同調査でZTNAを「アプリケーションアクセスサービス」と「セキュアWebゲートウェイ」(SWG)というサービスに分類し、中堅中小企業の導入意向を調べた。
それによると年商50億〜500億円の中堅企業は、SWGの導入意向を示す企業の割合が高く、アプリケーションアクセスサービスの導入意向を示す企業の割合は年商規模による顕著な差はなかった。ノークリサーチは「アプリケーションアクセスサービスはVPNに代わるアクセス手段として、中堅中小企業全体に広く普及する可能性がある」としている。
5Gやネットワーク関連サービスに必要な機能や要件のうち、「アプリケーション単位の接続許可」については、年商規模が大きくなるにつれてニーズが高くなる傾向にあった。一方で、年商規模が小さいほど「端末内のデータロック、削除」に対するニーズが高かった。ノークリサーチは「年商規模が大きくなるほどZTNAを訴求しやすいことが分かった」としている。
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