アシストがリモートブラウザ分離のクラウドサービスを販売開始。開発元Ericomの「ゼロトラスト博士」がサイバーセキュリティの現状と課題、そして対策のための考え方を語った。
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アシストは2021年6月2日、RBI(Remote Browser Isolation:リモートブラウザ分離)のクラウドサービス、「Ericom Shield Cloud」を同日付で販売開始したと発表した。これに併せ、開発元のEricom(イスラエル)のCTO(最高技術責任者)、アシストが「ゼロトラスト博士」と呼ぶチェイス・カニンガム博士が、サイバーセキュリティの現状と課題、そして対策のための考え方を語った。
カニンガム博士は冒頭、『スター・ウォーズ』の世界を舞台にしたドラマ『マンダロリアン』で触れられる、主人公マンダロア族の信条“This is the Way”を取り上げる。劇中でも繰り返し主人公が口にするその言葉をカニンガム博士も「信念はゼロトラストだ」と頭の中で何度も繰り返し唱え、推進しているという。
なぜ博士はそこまでゼロトラストにほれ込んでいるのだろうか。カニンガム博士は「ゼロトラストは単なるセキュリティ対策ではなく、ビジネスを推進する。サイバーセキュリティの失敗ポイントを踏まずに済む」と考えている。
カニンガム博士はゼロトラストを導入した企業の声として、「組織がよりアジャイルになった」「ユーザーが満足を得ることができた」「コストが下がった」といった効果を紹介した。
「セキュリティ対策をすることではなく、ビジネスをドライブすることが組織の目的だ。それが可能になるのがゼロトラスト。理想的であり現実的でもある戦略だ」(カニンガム博士)
ゼロトラストの導入はグローバルなムーブメントになり、勢いづいているという。「ゼロトラストをバズワードだと取られる人もいるが、この概念は20年前にできたものだ。当初はプリミティブな部分からスタートしていたが、現在ではRBIを含め進化している。ファイアウォールやネットワークセキュリティで壁を強固にしていても、現在の脅威には対応できない。ゼロトラストはその答えになると考えている」(カニンガム博士)。
セキュリティがより一層求められている背景には、サイバー攻撃が複雑化しているだけではなく、コロナ禍の影響もある。テレワークがトレンドとなって個人端末を利用するBYOD(Bring Your Own Device)も増えており、セキュリティ対策が難しい問題となっている。個人端末に組織が指定するモジュールをインストールさせることは難しいからだ。
「BYODでセキュリティを確保するには、RBI技術が生きる。敵と対峙(たいじ)するときはできる限り自陣の門の外で戦いたいものだ。“敵と遠いところで戦う”ことができるのがRBIで、それは適切なアプローチだと考えている。自分の仕事をしつつ、セキュリティを確保することがビジネスの目的だ。しっかりと“よろい”を着込み、しかも刀を持って戦える状態を作ること。それを個人ごとに強化することがベストだ。身を守り、仕事もできる個人を作ることがより強い組織を作る。壁の中に弱い個人がいるスタイルではなく、エンパワーした個人を作るアプローチは全ての企業が求めている」(カニンガム博士)
これをEricomは、クラウドで提供する。クラウドなので規模は問わず、小さな企業でも大企業でも同じ機能を利用可能だという。
アシストはこの考え方を基にした新たなプロダクトEricom Shield Cloudをリリースした。これはEricomのリモートブラウザ分離製品「Ericom Shield」を新たにクラウドで提供するものだ。リモートブラウザでWebを参照して画面イメージを利用者端末のブラウザ上に描画し、悪意あるものを含め全てのスクリプトをローカルでは実行させないという。クラウド版は、東京、大阪にPOP(Post Office Protocol)を用意し、「Microsoft Azure Active Directory」「ADFS」(Active Directory Federation Services)をはじめとする認証IdP(Identity Provider)と連携させることができる。
クラウド版では、特定カテゴリーやリスクの高いWebサイトだけを分離する「Ericom Shield Cloud Lite」もラインアップに加えた。価格は100ユーザー以上で、Ericom Shield Cloudは年額1万7666円から、Ericom Shield Cloud Liteは年額3739円から。従来のオンプレミス版も併売する。
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