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» 2021年09月15日 05時00分 公開

コロナ禍で現実的になった、人生100年時代のライフ・シフト仕事が「つまんない」ままでいいの?(81)(3/3 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
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ある程度までやり切る

 3つ目は「ある程度までやり切る」こと。ある程度までやり切ってからキャリアを変えることで「胆力」(何か問題が起きても、尻込みしたり恐れたりしない精神力。やり切る力)が付きます。

 先ほどの、中堅のSIerから小規模のソフトハウスに転職して苦戦していたとき、次の仕事を探すこともできました。しかし、「転職して、すぐに辞めてしまうのもな」と思い、「ある程度やり切ってから辞めよう」と決めました。

 心が折れそうな中「ある程度までやり切る」のは、正直大変でしたし、本当は逃げ出したかった。でも、「ここまでやったら辞めよう」と決めて、諦めずに取り組んだおかげで、胆力が付いたと思います。

 努力とか根性とかいった「やみくもな精神論」は苦手です。でも、人生のさまざまな荒波を体験した今、こうも思います。「なんだかんだいって、最後は、逃げずにやり切る胆力だよな」と。

借金をしない

 4つ目は「借金をしない」こと。これを書くべきか正直迷いましたが、変化に対応するためには意外と大切なポイントかもしれないと思い、あえて挙げました。

 私はいま、対外的借金がありません。過去に車のローンを組んだことはありますし、独立したときに親からお金を借りたことはありますが、銀行にはお金を借りていません。

 お金に対する制約がそれほどないので、「仕事を辞める」「キャリアを変える」ことに、あまりためらいがありません。でも、もし大きな借金があったら、なかなか仕事を辞められなかったし、キャリアを変えるタイミングで勇気が出なかったんじゃないかなと思います。

 生涯1つの会社で過ごす「教育→仕事→引退」という人生だったら、大きな借金をしても大丈夫だったと思います。でも、マルチキャリアを目指すなら「身軽さ」も大切なのではないでしょうか。お金にあまり縛られたくないなら、長期にわたる借金には慎重な方がいいかもしれません。

不確実性が高い時代に必要なこと

 2017年にライフ・シフトを読んだときは、「言いたいことは分かるけれど、具体的には?」というのが正直な感想でした。「マルチステージ」の人生へと様変わりする、といわれても、正直、何をしたらいいのか分からない。「具体的には?」「どんなスキルを身に付けたらいいのかな?」といった印象でした。

 でも、あれから4年がたち、コロナ禍で働き方が急激に変わる中、「マルチキャリアって、こういう感じかぁ」という感覚が、少しつかめてきたような気がします。

 人生100年時代を生きる上で、学歴やスキルは、ないよりはあった方がいいのでしょう。でも、「変化に対応し続けていく」ことさえできれば、いいようにも思います。

 そのためには、違和感を大切にすること、変に固執しないこと、でも中途半端ではなくある程度までちゃんとやること。後は、その時々でいま目の前にある「やるべきこと」をちゃんとやること。それで、いいんじゃないかなぁ。

 後は……「人のせいにしない」ことかな。特にいまみたいな、物事が思い通りにならないときは、「国が悪い」「政治が悪い」「会社が悪い」「顧客が悪い」「上司が悪い」「部下が悪い」と、誰かや何かのせいにしがちです。もちろん、私もそうです。

 でも、(いまがまさにそうであるように)誰かが何かをしてくれることを期待しても、なかなか解決しないし、時間がかかるばかり。それならば、その時々の状況に合わせて自分で判断して、できることをやるしかないのかな、それが「変化への対応力」なのではないかな、と思うのです。

 先行きが見えない中を歩むのは、不安ですよね。私も不安です。でも、誰かや何かのせいにしなければ、ずっと恨み節で過ごさなくて済みますし、少なからず、自分が行動したことだけは、自分の中で誇れる。それさえできれば、何とかやっていけるのではないかと、私は思います。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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