企業には5Gを使って高速で安定した無線ネットワークを構築したいというニーズがある。「ローカル5G」を利用してもよいが、筆者は「キャリア5G」をお勧めする。その理由を最新の事例で説明しよう。
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2021年7月の本連載で紹介した牧野フライス製作所の5Gネットワークが予定通り、2021年12月10日に同社の厚木事業所で完成した。ローカル5Gではなく、キャリア5Gを使っている。6GHz以下の周波数帯(Sub6)を使う5Gとしては、ローカル5Gより高速だ。
ネットワークの全体像を図1に示す。構成要素は次の通りだ。
・「iAssist」 牧野フライス製作所が開発した工場の自動化を図るモバイルロボット
・スマートフォン
・キャリア5G(KDDI)
・Amazon Web Services(AWS)
・「AWS Wavelength」 低遅延を実現するためKDDI網内に設置されたAWSのリソース
・イントラネット(牧野フライスネットワーク)
全体が1つのネットワークになっており、同じプライベートIPアドレス体系を使っている。
このネットワークの目的は次の3点だ。
(1)iAssistの安定的で効率的な運用
従来はWi-Fiを使っていたが、不安定さやローミングの不具合に悩まされていた。今回の5Gネットワークで安定した無線通信を可能とした。さらに、iAssistの管理サーバをAWS Wavelength上に置くことでインターネットを経由しないセキュアで低遅延な通信を実現している。
(2)スマートフォンの活用
スマートフォンからロボットの監視と制御を可能にした。さらに事業所内で多数使われているPHSをNSA(Non Stand Alone、5Gの方式の一つ)の5Gで使われるアンカーバンド(制御信号を流す電波)の4Gを使って、VoLTE(Voice over LTE:4Gを使った高品質電話)に移行する。
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