変化が激しい市場において、価値のあるプロダクトを提供するために必要な「新規事業の不確実性との向き合い方」について解説する本連載。第2回となる今回は「プロダクトプロトタイピング」の進め方について解説する。
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企業の新規事業開発を支援するRelicの知見を基に「新規事業における不確実性との向き合い方」について解説する本連載。第1回(2つのプロトタイピングで「正しく」「早く」失敗する)は、新規事業で発生する「不確実性」にはどんなものがあるのか、その不確実性を減少させるために「プロトタイピング」がなぜ有効なのかといった内容について説明しました。第2回は「プロダクトプロトタイピング」の進め方について解説します。
プロトタイピングにはさまざまな種類があります。その中でもプロダクトプロトタイピングは文字通りプロダクト開発で有効なプロトタイピングです。これを使うことで、機能やデザインなどプロダクトの“あるべき姿”を明確にできます。基本的な進め方は以下の4つのステップになります。
4つ目のステップまで進むとこれまで気付かなかった新たな問いや仮説が生まれることがあります。その場合は最初のステップに戻り、再び仮説検証を実施します。検証すべき仮説を消化し切るまで、こうしたループを繰り返します。では各ステップの詳細について説明します。
最初のステップは「仮説定義」です。「どのような機能(デザイン)で、どのような体験を提供すべきか」という観点で機能やデザイン、体験について問いとそれに対応した仮説を立てます。問いと仮説は一覧にまとめます。下図は、仮説定義の例です(表の右側に「確信度」と「影響度」という項目がありますが、これらの項目については次の章で説明します)。
「チャットアプリのようなUI(ユーザーインタフェース)で保険の相談ができるサービス」を検討しているとしましょう。
保険のサービスですからユーザーのライフイベントに合わせた商品を提案することが重要です。ですが、チャットでやりとりされるのは短いテキストだけです。そうした少ない情報だけで適切な保険商品を提案できるのでしょうか。これが「問い」になります。この例ではその問いに対する仮説として「年齢と性別、統計情報があれば大まかに推定できる(はずだ)」としています。
適切に商品を提案できても、ユーザーが使いにくければ意味はありませんからUIにも工夫が必要です。とはいえ保険という商品の特性上、あまり派手なUIにしてしまうとユーザーの不評を買う可能性があります。そのため「UIは暖色系を基本として色使いにした方がよい(はずだ)」という仮説も生まれます。
こうした仮説出しの作業はできるだけいろいろな立場や役割の人に参加してもらいましょう。エンジニアやデザイナーといった開発の関係者はもちろん、エンドユーザーのペルソナに近いメンバーを参加させるのも有効です。多様な意見を集めることで、思ってもみなかった問いや仮説を発見できるかもしれません。
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