恐竜かプログラミングか、それが問題だGo AbekawaのGo Global!〜Carlos Planter編(前)(3/3 ページ)

» 2022年03月09日 08時18分 公開
前のページへ 1|2|3       

恐竜かプログラムか、どっち? 「一緒にしちゃえばいい」

阿部川 その後、高校に進学されます。具体的に将来の仕事を考え始める時期だと思いますが、やはりIT系の仕事に就こうと思っていたのでしょうか。

プランテル氏 いいえ。当時は考古学者になりたかったのです。ずっと恐竜が好きだったので。けれどメキシコではそういった学問を学べる大学が見つからなかったんです。けれども留学するお金もないし、どうしようかと迷いました、そのうち「PCも好きだし、恐竜のゲームとか作れば一石二鳥じゃないかな」と思ってPCの方に行くことにしました。

画像 「PCも好き、恐竜も好き。じゃあ一緒にしちゃえばいいかなって」

阿部川 すてきな発想ですね(笑)。今でも恐竜は好きですか。

プランテル氏 当時ほどではないかもしれませんが今でも好きです。

阿部川 良かったです。進学されたのはメキシコ国立自治大学ですね。どう発音するのかな、「ユニバーシティーナショナルオトノマメキシコ」?

プランテル氏 (笑) ウニバシラ ナショナ アウトノマ メキシコ。

阿部川 お上手ですね(大笑)。略して「UNAM」ですね。

プランテル氏 「ウナム」と読みます。ここの工学部に入学しました。自慢ではないけれど、ここ、メキシコで1番いい大学なんです。ラテンアメリカの中でも1番なんじゃないかな。国立なので学費がほぼ無料――1年の学費がたぶん20円ぐらい。

 UNAMは人気なので毎年受験者数が多くて。当然落ちる人も多いので「入試は難しいだろうな」と思っていました。ダメ元で試験当日の朝に化学や物理の公式を覚えて受験したら、なんと合格したんです。自分でもびっくりしましたね。

阿部川 いやはや、格好いいお話ですね。

プランテル氏 メキシコでは「受験者数が多くて面倒くさいから、受験票の入った箱を投げて椅子の上に受験票が残った人を合格としていたんじゃないか」という都市伝説があって「あー、それだったかー」と思いました(笑)。

阿部川 だとしたら運が良かったですね(笑)。大学ではどういった勉強をされていたのですか。

プランテル氏 数学とか物理が多かったですね。プログラミングの授業もありました。そのころは叔父のおさがりのラップトップがあったので助かりました。いろいろ勉強しながら「OSの自作」にも挑戦したんですよ。起動するだけ、といった仕上がりでしたけれど。

阿部川 OSの自作は大変でしょう! すごいですね。

プランテル氏 一から作ったわけではないですけどね。当時はWeb開発業界が盛り上がっていて、「jQuery」とか「CSS」とか「JavaScript」とか使って何か作るのがはやっていたんです。高校の友達は違う大学に行っていましたが、よく集まって「一緒に何ができるかな」と議論していました。


編集中村 編集 中村

「ちょっとだけ勉強しただけなのに受かった」といったニュアンスでしたが、それはきっと「改めて勉強しなくても十分な知識を持っていたから」ではないでしょうか。少額でも報酬を得られるレベルの仕事ができるのですから。それを「抽選で受かった」なんて言えてしまうのは格好いいですね。


阿部川 当時、一番やりたかったことはなんでしたか。

プランテル氏 まずやりたかったのはゲーム開発。もう1つは日本に行きたいと思っていました。

 ゲームについては実際に友達と一緒に作ろうとしていました。当時私はプログラミングが得意ではなかったので、得意な友達に指示してチームとしてゲーム開発しようとしていました。でもうまくいきませんでしたね。最初は「いいね! やろうやろう!」と盛り上がるのだけれど、だんだん「ああ、すみません。今日は忙しいからできない」となっていって……。

阿部川 難しいですよね。ゲームを1つ作るにもいろいろな要素がありますから、プログラミングだけできればいいということではないので。でもやってみようと頑張ったことは良いことだと思いますよ。

 日本に行きたいと思ったのはなぜでしょうか。やはりアニメに興味があったからですか。

プランテル氏 そうですね、きっかけはアニメです。そこから日本そのものに興味が出てきていろいろ調べました。高校を卒業したときに友達が「日本に行くから一緒に行きましょう。お金は出してあげるから」と誘ってくれたんです。そんなこんなで2003年に私と友達とその両親の4人で日本に来ました。



 プログラミングの魅力に取り付かれ、小さいときからWeb開発者としての素質を見せるプランテル氏。目下の目標はゲーム開発と日本に行くことだったが、ふとしたことから早々に日本に行くことになる。そこで体験した忘れられない出来事とは。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。