「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、FILESTREAMのI/O要求に関する情報の出力について解説します。
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本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_filestream_file_io_requests」における、FILESTREAMのI/O要求に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。
SQL ServerではFILESTREAMの機能を使用することで、非構造化データ(ドキュメントやイメージなど)をファイルシステムに格納できます。FILESTREAMの機能によって、ファイルシステムのストリーミングAPIをアプリケーションで活用できるほか、非構造化データとそれに対応する構造化データの間でトランザクションの一貫性を維持できます。
FILESTREAMの機能を使用するためには、SQL ServerインスタンスでFILESTREAM機能を有効化して、データベースやテーブルにFILESTREAMデータを格納できるように構成する必要があります。
「sys.dm_filestream_file_io_requests」ではFILESTREAMのI/O要求に関する情報を出力します。
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
request_context_address | varbinary(8) | I/O要求のメモリブロックの内部アドレス |
current_spid | smallint | SQL ServerのセッションのID |
request_type | nvarchar(60) | I/O要求パケットの種類。次のいずれかになる REQ_PRE_CREATE REQ_POST_CREATE REQ_RESOLVE_VOLUME REQ_GET_VOLUME_INFO REQ_GET_LOGICAL_NAME REQ_GET_PHYSICAL_NAME REQ_PRE_CLEANUP REQ_POST_CLEANUP REQ_CLOSE REQ_FSCTL REQ_QUERY_INFO REQ_SET_INFO REQ_ENUM_DIRECTORY REQ_QUERY_SECURITY REQ_SET_SECURITY |
request_state | nvarchar(60) | 要求の状態。次のいずれかになる REQ_STATE_RECEIVED REQ_STATE_INITIALIZED REQ_STATE_ENQUEUED REQ_STATE_PROCESSING REQ_STATE_FORMATTING_RESPONSE REQ_STATE_SENDING_RESPONSE REQ_STATE_COMPLETING REQ_STATE_COMPLETED |
request_id | int | 要求に割り当てられたID |
irp_id | int | 要求パケットID |
handle_id | int | 名前空間ハンドルのID |
client_thread_id | varbinary(8) | クライアントアプリケーションのスレッドID |
client_process_id | varbinary(8) | クライアントアプリケーションのプロセスID |
handle_context_address | varbinary(8) | クライアントのハンドルに関連付けられたメモリブロックの内部アドレス |
filestream_transaction_id | varbinary(128) | 「get_filestream_transaction_context」関数でも出力されるトランザクションのID |
クライアントアプリケーションからOpenSqlFilestream APIを使用してFILESTREAMデータの変更を行い、「sys.dm_filestream_file_io_requests」を実行すると、FILESTREAMのI/O要求に関する情報が出力されました(図1)。
「sys.dm_filestream_file_io_requests」で出力された「current_spid」列の値は、「sys.dm_exec_requests」では「command」列がFSAGENT TASKの処理として出力されました(図2)。
「sys.dm_filestream_file_io_requests」を実行するタイミングによっては「current_spid」列が「0」となることがあります(図3)。
通常のSQL ServerのSPIDは「50」を境にシステムセッションとユーザーセッションで分かれていますが、先ほどは「30」のシステムセッションだった「session_id」が、ユーザーセッションである「67」で実行されることもありました(図4)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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