FILESTREAMのI/O要求に関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(91)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、FILESTREAMのI/O要求に関する情報の出力について解説します。

» 2022年03月08日 05時00分 公開
[椎名武史@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_filestream_file_io_requests」における、FILESTREAMのI/O要求に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL ServerではFILESTREAMの機能を使用することで、非構造化データ(ドキュメントやイメージなど)をファイルシステムに格納できます。FILESTREAMの機能によって、ファイルシステムのストリーミングAPIをアプリケーションで活用できるほか、非構造化データとそれに対応する構造化データの間でトランザクションの一貫性を維持できます。

 FILESTREAMの機能を使用するためには、SQL ServerインスタンスでFILESTREAM機能を有効化して、データベースやテーブルにFILESTREAMデータを格納できるように構成する必要があります。

 「sys.dm_filestream_file_io_requests」ではFILESTREAMのI/O要求に関する情報を出力します。

出力内容

列名 データ型 説明
request_context_address varbinary(8) I/O要求のメモリブロックの内部アドレス
current_spid smallint SQL ServerのセッションのID
request_type nvarchar(60) I/O要求パケットの種類。次のいずれかになる
 REQ_PRE_CREATE
 REQ_POST_CREATE
 REQ_RESOLVE_VOLUME
 REQ_GET_VOLUME_INFO
 REQ_GET_LOGICAL_NAME
 REQ_GET_PHYSICAL_NAME
 REQ_PRE_CLEANUP
 REQ_POST_CLEANUP
 REQ_CLOSE
 REQ_FSCTL
 REQ_QUERY_INFO
 REQ_SET_INFO
 REQ_ENUM_DIRECTORY
 REQ_QUERY_SECURITY
 REQ_SET_SECURITY
request_state nvarchar(60) 要求の状態。次のいずれかになる
 REQ_STATE_RECEIVED
 REQ_STATE_INITIALIZED
 REQ_STATE_ENQUEUED
 REQ_STATE_PROCESSING
 REQ_STATE_FORMATTING_RESPONSE
 REQ_STATE_SENDING_RESPONSE
 REQ_STATE_COMPLETING
 REQ_STATE_COMPLETED
request_id int 要求に割り当てられたID
irp_id int 要求パケットID
handle_id int 名前空間ハンドルのID
client_thread_id varbinary(8) クライアントアプリケーションのスレッドID
client_process_id varbinary(8) クライアントアプリケーションのプロセスID
handle_context_address varbinary(8) クライアントのハンドルに関連付けられたメモリブロックの内部アドレス
filestream_transaction_id varbinary(128) 「get_filestream_transaction_context」関数でも出力されるトランザクションのID

動作例

 クライアントアプリケーションからOpenSqlFilestream APIを使用してFILESTREAMデータの変更を行い、「sys.dm_filestream_file_io_requests」を実行すると、FILESTREAMのI/O要求に関する情報が出力されました(図1)。

図1 図1 FILESTREAMのI/O要求に関する情報が確認できる。「current_spid」は「30」で実行されていた

 「sys.dm_filestream_file_io_requests」で出力された「current_spid」列の値は、「sys.dm_exec_requests」では「command」列がFSAGENT TASKの処理として出力されました(図2)。

図2 図2 「session_id」が「30」の処理はFSAGENT TASKというcommandで実行されていた

 「sys.dm_filestream_file_io_requests」を実行するタイミングによっては「current_spid」列が「0」となることがあります(図3)。

図3 図3 「request_type」によっては「current_spid」列の値が「0」になる

 通常のSQL ServerのSPIDは「50」を境にシステムセッションとユーザーセッションで分かれていますが、先ほどは「30」のシステムセッションだった「session_id」が、ユーザーセッションである「67」で実行されることもありました(図4)。

図4 図4 「current_spid」が「50」より大きいユーザーセッションで実行されることもあった

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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