ITが好き、言語も好き、広告もブランディングも好き。だから、1つのキャリアではなく、スキルに集中することにした。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回は、サービス、ブランド、コミュニケーションをデザインする「ニューロマジック」のMonika Weissmann(モニカ・ヴァイスマン)さんにお話を伺った。勉強中毒で情報オタク、さまざまなことに興味があり、どれか1つにしぼれない多才な少女は、やがて日本の文化にはまっていく。
聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) お生まれはどちらですか。
Monika Weissmann(モニカ・ヴァイスマン、以降モニカさん) 生まれはポーランドです。大学を卒業するまではポーランドにいて、卒業の翌年から日本に住むようになりました。
阿部川 小さいころは、どんなことが好きでしたか。外で遊ぶのが好きだとか本を読むのが好きだったとか。
モニカさん とにかくいろいろなものに関心がありました。家族の話を聞くと特に本に興味があったみたいです。早く(文字を)読めるようになりたかったんですね。情報収集が好きで、大人の会話を聞いたりテレビを見たりしていたことを覚えています。人の話に口を挟む方ではありませんが、自分の意見を言えるときは言いたい。そんな子どもでした。
阿部川 ご自身のWebサイトによると、“勉強中毒”で“完璧主義者”だとか。
モニカさん そうです。あと“情報オタク”かもしれない。子どものころから図書館がとても好きでいろいろな分野の本を読んでいましたし、親戚の家に行ってもどういう雑誌や新聞があるのかチェックしていました。今はインターネットを使えば際限なく情報を集められるようになってしまったので困っています。
阿部川 なるほど。そんなに熱心なら学校の勉強も楽しかったのではないですか。
モニカさん そうですね、勉強がそもそも好きなので、あまり苦労は感じませんでした。
阿部川 ちなみに得意な科目は何でしたか。
モニカさん うーん。1つの教科が特別好きだったり嫌いだったりということはなくて。自分でいうのは恥ずかしいんですけれど、全部の学科で成績は良かったです。本当に(勉強が)好きだったので、楽しくやれました。
もちろん勉強だけじゃなく部活にもできるだけ参加しました。ポーランドの部活は日本のスポーツやアート関連のものとは違って授業の延長のようなものなので、コンクールの準備などもします。
阿部川 では進路はあまり悩まなかったのでしょうか。
モニカさん いいえ、とても悩みました。ポーランドは高校の時点でIT、理科、文学、言語学など専門を選ばなければなりません。当然、専攻した分野の授業が他と比べて多くなります。私は興味が広過ぎて、どの分野を選ぶべきかかなり迷いました。
高校に進学するときは言語学を選ぼうと思っていたんですけれど、応募者があまりいなかったせいで文学専攻に振り替えられました。ですので、高校では歴史と言語――特にポーランド語と英語、ラテン語、フランス語を多めに学びました。
阿部川 将来はその関連の仕事に就こうと思っていたのですか。
モニカさん それも高校のころ、ずっと悩んでいました。いろいろな職種や大学を紹介する雑誌を読んだら、生理学も興味があるし、ITも興味あるし、マーケティングも興味ある。そのころから今に至るまで「これ、なりたい!」というのはないんです。
ただ、世界が変わってきているのを感じていました。「1つのキャリアで行くよりもスキルに集中した方がいいかな」と思い、大学では情報学を選びました。情報、特にインターネットはこれからもっともっと大切になるので、適切な情報の見つけ方や情報の管理の仕方、情報設計などがこれからの世界で生きるスキルになると思ったからです。
阿部川 モニカさんのように「○○屋さんになりたい」が幾つもあって「1つに絞るのではなく全部やりたい」という人はたくさんいると思うんです。もちろん同時並行で全部やりたい人もいますし、20代、30代、40代でだんだんやりたいことが変わってくるという人もいます。仕事の仕方というのはそういう風に変わってきているのかもしれません。特にITの分野はそういう傾向がありますね。
大学で羽を伸ばしていた私からすると、高校生の時点で将来のキャリアを考えているだけですごいと感じます。「やりたいことが幾つあっても最終的には1つに絞らなければならない」なんて勝手な思い込みだったのだな、とモニカさんを見ていて思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.