阿部川 ポーランドの受験はどうですか。やはり「狭き門」なんでしょうか。
モニカさん センター試験があって、その点数によって入れる大学が分かれます。試験の科目を選ぶ段階で選考をしぼる感じですね。私は歴史、社会学、言語を選びました。センター試験は高校卒業後5年以内でしたら何回も受験できるので、進路の希望が変わったら自分で勉強して受けられます。
阿部川 チャンスがあっていい制度ですね。大学はええと、何と読むのでしょうか。
モニカさん 「ヴロツワフ大学」(Uniwersytet Wroclawski)です。大学では主に3つの分野を学びました。1つ目は図書学です。情報学の由来となった学問だから、というのが専攻した理由です。もう1つは情報工学。後は他の言語や社会学や哲学などのリベラルアーツを学びました。
図書学の中では特に本の歴史が好きでした。でも授業で図書館業務について学んだときは「これからのためのスキルではない」と思いました。図書館はアナログの世界だったので。カタログカードが紙なんですよ。まあ、やることはやって成績も良かったんですけれど、あまり将来性を感じませんでした。
阿部川 いろいろ学ばれて、将来なりたい職業は見つかりましたか。
モニカさん 「これ!」というものはなかったのですが、ブランディングに興味を持ちました。もともと広告やマーケティングには興味があったのですが、当時マーケティング業界でブランディングが盛り上がっていたんです。情報学やリサーチなどのいままで勉強してきたことを生かせると思って勉強を進めました。ブランディングの会社にインターンもしました。卒業論文はEU(欧州連合)の公立図書館のブランディングについて書きました。公立図書館のWebサイトの「UI/UX分析」(ユーザーインタフェース/ユーザーエクスペリエンス分析)などもやったんですよ。
阿部川 それが現在の仕事にもつながっているわけですね。ところで大学に進学するまでにITを学ぶクラスのようなものはあったのでしょうか。
モニカさん 中学校からありました。PCの扱い方を学んだり、Wordで簡単なWebサイトを作ったり。そうしたらITも面白いなと思って、高校進学時にITを専攻した方がいいのか迷いました。
高校のとき私の専攻は文学でしたが、学内にはコンピュータの学科もありました。私は言語に興味があったので、プログラミング言語は会話で使う言語に似ていて面白いと思いました。早速、図書館でMySQLの教科書を借りて「そもそもプログラミングとは何か」「(会話で使う)言語とどう似ているのか」などに関心を持ちました。大学のときにはフロントエンド――HTMLやCSS(Cascading Style Sheets)を学びました。今でもフロントエンドは得意です。
阿部川 高校のときにはPCを使いこなしていたわけですね。
モニカさん はい。調べ物だけでなく、ブログも書いていました。「WordPress」を使って、実際にCSSを書くなどしながら勉強しました。インターンしたブランディング会社はWeb制作もしていたので、ディレクションや簡単な修正をして、そこからさらにフロントエンドをもっと勉強したいなと思いました。でもプログラマーになりたいとは思いませんでした。私には狭いかな、と思って。
阿部川 僕も言語が好きで大学の専攻は言語学だったので、モニカさんと同じように思いました。だから、プログラミングをやりたかったわけではないけれど言語をやろうということで学びたかった。インターンはどのぐらい期間、行ったのですか。
モニカさん 最初は週何回かだったのですが、後半はフルタイムで働くようになりました。月〜金で通勤して、授業があるときだけ時間をずらすといった感じで。先取りで社会人をやっていました。
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