Google、Kubernetesクラスタをエッジで実行できる「Google Distributed Cloud Edge」を提供開始Googleが専用ハードウェアを提供、メンテナンスするマネージドサービス

Googleは、「Google Cloud」のインフラとサービスを、顧客のデータが生成、消費される場所の近くに配置する、フルマネージドのハードウェア/ソフトウェア製品「Google Distributed Cloud Edge」の一般提供を開始した。

» 2022年04月20日 17時10分 公開
[@IT]

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 Googleは2022年4月1日(米国時間)、「Google Cloud」のインフラとサービスを、顧客のデータが生成および消費される場所の近くに配置する、フルマネージドのハードウェア/ソフトウェア製品「Google Distributed Cloud Edge」の一般提供を開始したと発表した。

Google Distributed Cloud Edgeとは

 Googleは2021年10月に、エッジとデータセンターにGoogle Cloudのインフラとサービスを拡大するポートフォリオ「Google Distributed Cloud」(GDC)を発表しており(参考)、GDC Edgeは、これを構成する2つの製品のうちの1つだ。

 GDCを構成するもう1つの製品「Google Distributed Cloud Hosted」は、顧客がオンプレミスのデータセンターにおいて、Google Cloudのインフラとサービスを自社でデプロイするか、パートナーを通じてホストするもので、2022年にプレビュー版の提供が開始される見通しだ。

Google Cloudのインフラとサービスをエッジに拡大するGoogle Distributed Cloud Edge(提供:Google

 GDC Edgeは、従来のGoogle Cloudデータセンターとは別に、Googleが提供、メンテナンスする専用ハードウェア上で、顧客がKubernetesクラスタを実行できるようにするものだ。Googleは、GDC Edgeハードウェアを顧客施設に納品し、インストールする。

 GDC Edge環境でのワークロードのデプロイは、クラウドベースの「Google Kubernetes Engine」(GKE)クラスタ上でのワークロードのデプロイと同様の方法で行える。ハードウェアが設置された後、クラスタ管理者は、Kubernetesベースクラスタのプロビジョニングと同様の方法で、「Google Cloud Console」を使用してGDC Edgeクラスタをプロビジョニングする。アプリケーション所有者は、これらのクラスタにワークロードをデプロイできる。

 GDC Edgeは「Cloud VPN」の接続を介して、Google Cloudのサービスや、顧客がGoogle CloudやVirtual Private Cloud内で運用しているアプリケーションにアクセスできる。

 GDC Edgeは、顧客が5Gコアや無線アクセスネットワーク(RAN)機能をエッジで実行することを可能にし、次のようなエンタープライズアプリケーションのユースケースをサポートする。

  • 動画とAI(人工知能)を利用した、異常検知による製造現場での不良品の削減
  • ロボットを利用した、リアルタイム在庫管理による次世代型小売店
  • センサーを利用した、自動車の運転効率の向上
  • 機密データをクラウドに転送する前のローカルでのスクラブ

2つのハードウェアオプション

 Googleは4月1日の発表で、GDC Edgeではラックベースの構成と、「GDC Edge Appliance」という2つのフォームファクタのハードウェアオプションを提供することも明らかにした。

ラックベースの構成

 ラック、サーバ6台、トップオブラックスイッチ2台、ケーブル、光学製品が含まれ、ACまたはDC電源で構成できる。このオプションは米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、フィンランド、英国で利用できる。

 GDC Edgeはフルマネージドなので、顧客はワークロードに集中できる一方、GoogleはGDC Edgeをリモートでモニタリング、メンテナンスし、最新のソフトウェア更新プログラムのインストール、構成の問題解決、セキュリティ体制の維持、顧客施設でのGDC Edgeハードウェアの交換などを行う。

GDC Edge Appliance

 GDC Edge Applianceは、帯域幅やレイテンシの制限によって、カメラやセンサーなどのデバイスデータをクラウドデータセンターで処理できない場合に適している。こうしたデバイスから送信される大量のデータを迅速に処理し、安全に保存する必要がある遠隔地でのデータ収集、分析、処理を容易にする。

 また、顧客の倉庫、店舗、車両に設置されたカメラやセンサーから生成されたデータを保存したり、ML(機械学習)推論、集約、カスタムロジックを用いてデータをローカルで処理するコンテナ化されたアプリケーションを実行したりできる。

 GDC Edge Applianceには、軽量かつ堅牢(けんろう)な1Uサーバ、RAID(Redundant Array of Independent Disk)ベースのローカルNFS(Network File System)ストレージ、セキュリティのためのTPM(Trusted Platform Module)、オプションのNVIDIA GPUが含まれる。

多様な顧客ニーズに対応

 GoogleはこうしたGDC Edgeへの投資に加え、パートナーとの提携によって、GDC Edgeで通信事業者と一般企業の両方のニーズに対応する。パートナーの最新の取り組みとしては、例えば、Bell CanadがGDC Edgeの導入によって5Gコアネットワーク機能を提供し、Verizonが企業にエッジサービスを提供している。

 さらにGoogleは、AT&T、Reliance JIO、TELUS、Indosat Ooredooなど世界各地の企業とも提携し、大企業の複雑なニーズに応えている。

 Googleは、「オープンで活気のあるエコシステムベースのアプローチによる開発が、エッジでの創造と革新を可能にする」との認識を示し、「オープンソースソフトウェアへの注力とAndroidエコシステムから学んだことを、エッジに生かしている」と述べている。

 GDC Edge上でのワークロードの実行や、エッジビジョン、ML(機械学習)、AI製品の統合を目的に、幅広いISV(独立系ソフトウェアベンダー)パートナーエコシステムと連携しており、より多くのISVがGDC Edgeのエコシステムに加わることを期待しているという。

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