Linux FoundationとGoogle Cloud、通信業界と共同で「Nephio」プロジェクトを創設Kubernetesをベースに通信ネットワーク機能のクラウドネイティブ自動化を容易に

Linux Foundationは、Google Cloudおよび通信業界の主要企業と共同で、OSSプロジェクト「Nephio」を立ち上げた。Nephioとは何か。どんな問題を解決するのか。どんなメリットがあるのか。

» 2022年04月26日 17時30分 公開
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 オープンソースソフトウェア(OSS)を通じたイノベーション促進を目指す非営利組織Linux Foundationは2022年4月12日(米国時間)、Google Cloudおよび通信業界の主要企業と共同で、OSSプロジェクト「Nephio」を立ち上げたと発表した。Linux Foundationは、Nephioを支えるエコシステム、開発者の増加と多様性、OSSエコシステム間のコラボレーションを継続する場を提供する。

 複数のエッジロケーションにまたがるスケーラブルな5Gネットワークの構築、管理、デプロイは、複雑な事業になる。通信業界では、クラウドベースのデプロイにおいてアジリティ(俊敏性)と最適化に加えて、より高速、シンプルで、簡単な、真のクラウドネイティブ自動化が求められている。

 これらの課題に対処するために、Google CloudとLinux FoundationはNephioプロジェクトを創設した。プロジェクトの創設メンバーには次の通信関連企業が加わっている。

  • サービスプロバイダー
    Airtel、Bell Canada、Elisa、Equinix、Jio、Orange、楽天モバイル、TIM、TELUS、Vapor IO、Virgin Media O2、WINDTRE
  • ネットワーク機能、サービス、インフラベンダー
    Aarna Networks、Arm、Casa Systems、DZS、Ericsson、F5、Intel、Juniper Networks、Mavenir、Nokia、Parallel Wireless、VMware

 プロジェクトのWebサイトでは、Nephioのミッションとして下記を掲げている。

 「Nephioの目的は、キャリアグレードのシンプルでオープンなKubernetesベースのクラウドネイティブインテント自動化と汎用(はんよう)の自動化テンプレートを提供し、大規模なエッジデプロイにおいてマルチベンダーのクラウドインフラとネットワーク機能のデプロイおよび管理を、大幅に簡素化することにある。さらにNephioは、クラウドネイティブなアプローチによって、ネットワーク機能の本番環境への迅速なオンボーディング(基盤となるクラウドインフラのプロビジョニングを含む)を実現し、クラウドおよびネットワークインフラの導入コストを削減する」

Nephioとは?

 同サイトでは、「Nephioとは何か」「どんな問題を解決するのか」を次のように説明している。

Nephioとは何か

 Nephioは、Kubernetesをベースに、ネットワーク機能とそれを支えるインフラをインテント(意図)駆動で自動化する。高度なインテントの表現が可能だ。ユーザーは、Nephioによるインテリジェントで宣言的な自動化によって、クラウドとエッジインフラをセットアップし、ネットワーク機能の初期設定をレンダリングし、それらの設定を適切なクラスタに配置してネットワークを稼働させることができる。

Nephio機能ビルディングブロック(提供:Nephioプロジェクト

Nephioはどんな問題を解決するのか

 分散クラウドのような技術は、オンデマンドでAPIドリブンのエッジアクセスを可能にする。だが、既存の脆弱(ぜいじゃく)で命令的なオーケストレーション手法では、こうした新しいインフラプラットフォームの動的な機能を、十分に活用できない。

 Nephioはこの問題を解決するために、新しいアプローチの採用によって、オンデマンド分散クラウドにおいて、マルチベンダー、マルチサイトでデプロイされる、相互接続ネットワーク機能のプロビジョニングと管理の複雑さに対処する。

 Nephioは、ネットワーク機能とそれを支えるクラウドインフラの初期プロビジョニングに対応するとともに、障害、スケーリングイベント、分散クラウドへの変更が発生しても、Kubernetesに基づく調整によって、ネットワークの稼働を維持することを目的としている。

Nephioがもたらすメリット

 さらにプロジェクトサイトでは、NephioによるKubernetesベースのクラウドネイティブ自動化が、通信会社、クラウドプロバイダー、ネットワーク機能ベンダーにもたらすメリットを以下のように説明している。

通信会社にとってのメリット

 マルチベンダー対応、迅速なオンボーディング、容易なライフサイクル管理、コントロールループの組み込み、アクティブな調整、サービス保証が可能になり、効率化とアジリティによってコストを削減できる。

クラウドプロバイダーにとってのメリット

 アプリケーションごとに必要なカスタム自動化のレベルを最小限に抑えることができる。既知の技術による迅速な開発を可能にし、ネットワーク機能がクラウドで確実にデプロイ、実行されることを保証する。

ネットワーク機能ベンダーにとってのメリット

 クラウドプロバイダーとのマルチベンダー統合が容易になり、ネットワーク機能のクラウドへのオンボーディングも簡単になる。全体的な顧客体験も向上する。

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