欠落インデックスのインデックスIDとグループIDの対応付け情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(113)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、欠落インデックスのインデックスIDとグループIDの対応付け情報を出力する方法について解説します。

» 2022年05月24日 05時00分 公開
[伊東敏章@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_missing_index_groups」における、欠落インデックスのインデックスIDとグループIDの対応付け情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)と「Azure SQL Database」です。

概要

 SQL Serverでは、テーブルやビューにインデックスを作成することで、効率的にデータ検索やテーブル間の結合を実行できます。データ検索やテーブル間の結合に適したインデックスが作成されていない場合には、データの検索のためにテーブルのデータ全体を読み込む必要があり、クエリの実行は非効率なものとなります。

 SQL Serverでは、クエリのコンパイル時に、クエリに適したインデックスが不足していること(欠落インデックス)を検出する機能があります。検出された欠落インデックスはSQL Server Management Studio(SSMS)でクエリの実行プランを表示して確認することや、動的管理ビューを使用して確認することが可能です。

 動的管理ビューで欠落インデックスを確認する場合、欠落インデックスの列の情報を出力できる「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューや「sys.dm_db_missing_index_columns」動的管理関数では、欠落したインデックスの区別には、欠落インデックスのインデックスIDが使用されます。

 欠落インデックスによる実行プランコストへの影響などの情報を出力できる「sys.dm_db_missing_index_group_stats」動的管理ビューでは、欠落インデックスの区別には、欠落インデックスのグループIDが使用されます。

 「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューを使用することで、異なるIDである欠落インデックスのインデックスIDとグループIDを対応付けて、欠落インデックスの列情報とコスト影響を1対1で関連付けて分析することが可能となります。

出力内容

列名 データ型 説明
index_group_handle int 欠落インデックスのグループID
index_handle int 不足したインデックスのインデックスID
インデックスグループには、インデックスが1つだけ含まれる

動作例

 動作確認用のテーブルを作成しSELECTクエリを実行しました。このテーブルにはインデックスを作成していないため、SSMSで実行プランを表示すると「不足しているインデックス」(欠落インデックス)が表示されました(図1)。

図1 図1 SSMS で欠落インデックスが表示されたところ

 次に、「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューを出力します。SELECTクエリにより欠落インデックスが検出されたため、結果が1行出力されました(図2)。

図2 図2 欠落インデックスの情報が出力された

 「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューは欠落インデックスIDと欠落インデックスグループIDを出力するだけのため、有用な結果を得るには、他の動的管理ビューと組み合わせて出力する必要があります。

 例えば、欠落インデックスIDが出力される「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューと、欠落インデックスグループIDが出力される「sys.dm_db_missing_index_group_stats」動的管理ビューを、「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューを使用して結合して出力することで、欠落インデックスの列情報と、欠落インデックスによる実行プラン作成への全体的なコスト影響を組み合わせて出力できます(図3)。

図3 図3 欠落インデックスの列情報と実行プラン作成へのコスト影響を出力したところ

 また、「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューや「sys.dm_db_missing_index_group_stats_query」動的管理ビュー、「sys.dm_exec_sql_text」動的管理関数を「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューを使用して組み合わせることで、欠落インデックスの列情報と、欠落インデックスが検出された実行プランやクエリテキスト、そのクエリ実行における実行プラン作成への影響などを対応付けて確認できます(図4)。

図4 図4 欠落インデックスの列情報と実行プラン、クエリテキストなどを組み合わせて出力したところ

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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