「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、インメモリOLTPガベージコレクションワーカーキューの情報の出力について解説します。
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本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_xtp_gc_queue_stats」における、インメモリOLTPガベージコレクションワーカーキューの情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」「Azure SQL Managed Instance」です。
SQL ServerではインメモリOLTPを使用することでトランザクション処理やデータ取得、データロード、一時データ・シナリオのパフォーマンスを最適化できます。インメモリOLTPでは、データアクセスやトランザクション実行は、従来のディスクベースのオブジェクトとは異なるアルゴリズムで処理されます。
メモリ最適化テーブルのデータ行が削除されると、削除されたデータ行はインメモリOLTPガベージコレクションスレッドによってメモリ解放の対象になります。ガベージコレクションの作業項目は、ガベージコレクションワーカーキューによって管理されます。
「sys.dm_xtp_gc_queue_stats」動的管理ビューを使用することで、ガベージコレクションワーカーキューの現在の作業項目数などの情報を出力することができます。
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
queue_id | int | キューの識別子 |
total_enqueues | bigint | サーバが起動してからこのキューにエンキューされたガベージコレクション作業項目の総数 |
total_dequeues | bigint | サーバが起動してからこのキューからデキューされたガベージコレクション作業項目の総数 |
current_queue_depth | bigint | 現在このキューにあるガベージコレクション作業項目の数 |
maximum_queue_depth | bigint | このキューに同時に存在した最大項目数 |
last_service_ticks | bigint | キューが最後に処理されたときのCPUタイマー刻み |
事前にデータベースでインメモリOLTPを構成し、メモリ最適化テーブルの作成を行います。作成したメモリ最適化テーブルに多数のデータを挿入した後、「sys.dm_xtp_gc_queue_stats」動的管理ビューを出力しました(図1)。
4つのガベージコレクションワーカーキューの情報が出力されました。この時点ではデータの削除はしていないため、「total_enqueues」列のエンキューされた作業項目の合計は非常に小さい値になっていました。
次に、このテーブルからデータを削除して、もう一度「sys.dm_xtp_gc_queue_stats」動的管理ビューを出力しました(図2)。
「total_enqueues」列のエンキューされた作業項目の数が、大きく増えました。また、「current_queue_depth」列の値が「0」であることから、ガベージコレクションによって処理されていない作業項目は残っておらず、正常にガベージコレクションが動作していそうなことも分かります。
なお、キューの数は環境のコア数に依存するようです。動作確認に用いた環境は4コアの環境のため、キューの数は「4」になっており、2コアに減らしたところキューの数も「2」に減少しました(図3)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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