テープ規格「LTO」の将来の仕様が固まった。LTOの技術提供企業であるHPEとIBM、Quantumは、「LTO Ultrium」規格に基づくLTOテープ技術の最新ロードマップを発表した。
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オープンテープフォーマット「LTO」(Linear Tape-Open)の将来仕様が固まった。仕様を策定するコンソーシアム「LTO Program」の技術提供企業であるHewlett Packard Enterprise(HPE)とIBM、Quantumは2022年9月6日(米国時間)、「LTO Ultrium」規格に基づくLTOテープ技術の最新ロードマップを発表した。
このロードマップでは、世代を追うごとにテープ容量が倍増しており、LTO Ultriumの第14世代「LTO-14」では、圧縮時でテープカートリッジ1個当たり最大1440TB(1.44PB《ペタバイト》)、非圧縮時で最大576TBの容量を実現する。これは2021年に発売を開始した「LTO-9」の32倍に当たる。
IBMのストレージ製品管理担当副社長、サム・ワーナー氏は、次のように述べている。
「LTOテープはデータの長期保存が可能な低コストのストレージとして、またサイバーセキュリティを強化するための安全なデータストレージとして、これまで以上に重要な存在となっている。第14世代までの仕様が今回定義され、データの急速でますます加速する増加をサポートする態勢が整った。LTOテープは、重要なビジネスデータを保護し、保存するための、持続可能で信頼性の高い、低コストなソリューションを企業に提供する」
LTO Programは2000年に、1カートリッジ当たり200GB(圧縮時)の容量を実現するLTO Ultrium規格を発表した。その20年後に発表したLTO-9では、1カートリッジ当たり容量は最大45TB(圧縮時)、テープドライブのデータ転送速度は最大毎秒1000MBをサポートする。GB単価が0.01ドル以下であるLTOは、オンプレミスとクラウドでの長期データアーカイブにうってつけのストレージメディアとしての地位を確立している。
「IDCのデータによると、LTOテープなどの磁気テープ市場は2021年に2020年比10.5%増と堅調に拡大した。ランサムウェアに対する防御や大量データの低コスト保存、消費電力が少ないデータセンターのグリーン技術への移行といったニーズに後押しされている」と、IDCのリサーチバイスプレジデント、フィル・グッドイン氏は指摘する。
「さらに、データ量は2〜3年ごとに倍増し続けており、マルチペタバイト実装が一般的になってきている。今回のLTOテープのロードマップでは、圧縮時で1カートリッジ当たり1PB以上の容量を持つ第14世代まで規定されており、LTO技術が今後も、企業の大容量ストレージニーズに応えてどのように進化していくのかを示している」(グッドイン氏)
2021年にLTOテープメディアの出荷容量は148EB(エクサバイト)と過去最高を更新した。これは、LTOテープが備えるさまざまな特性から、企業で新たに導入が進み、関心が高まっていることを示していると、LTO Programは説明している。
こうした特性には、エアギャップ(ネットワークからの物理的隔離)によるランサムウェアからの保護の他、企業におけるESG(Environmental, Sustainability and Governance)の取り組みにもたらすメリット、他のデータストレージと比べた信頼性と低コストなどがあるという。
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